特定技能の支援計画書の書き方|7つの注意点と実務上のポイントを解説

特定技能外国人の受入れにあたり、企業が必ず作成しなければならない最重要書類が「1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)」です。

出入国在留管理庁の運用要領に基づき、正しく記載・実施されていない場合、在留申請の不許可や受入れ体制の基準違反とみなされるリスクがあります。

本記事では、企業の外国人雇用担当者様に向けて、支援計画書を作成する際の7つの必須注意点と実務の具体的な記載・実施基準を分かりやすく網羅して解説します。

支援計画書(様式第1-17号)作成時の7つの絶対ルール

「1号特定技能外国人支援計画書」の作成・実施においては、出入国在留管理庁が定める支援運用要領に従い、以下の7つのルールを厳格に遵守する必要があります。

  1. 義務的支援の全網羅と任意的支援の扱い
  2. 外国人が理解できる言語での作成・交付と自筆署名
  3. 支援費用の本人負担厳禁(直接・間接を問わず)
  4. 地方公共団体が実施する「共生施策」の確認と記載
  5. 支援責任者・支援担当者の要件と「中立性」の確保
  6. 支援の委託範囲の明記(一部委託のルール)
  7. 主な支援項目の具体的な作成・実施基準の遵守

それぞれのルールについて、実務上で特に注意すべきポイントを詳しく確認していきましょう。

1. 義務的支援の全網羅と任意的支援の扱い

特定技能の支援には、法令で定められた「義務的支援」と、受入れ企業が任意で行う「任意的支援」の2種類が存在します。

【義務的支援の全記載】
法令で定められた10項目の「義務的支援」は、客観的に明らかに不要な場合(例:日本に既に在留しており住居変更もない場合の入国送迎など)を除き、原則としてすべての項目を記載・実施しなければなりません

【任意的支援の義務化】
義務的支援に加えて任意で行う支援内容を計画書に記載した場合、その記載した任意的支援についても実施義務が生じます。一度記載すると法的な履行義務が発生するため、自社で確実に実行できる範囲の内容を記載することが重要です。

2. 外国人が理解できる言語での作成・交付と本人の署名

支援計画書は、企業側が一方的に作成・保管するだけでは認められません。外国人本人の権利保護のため、以下のプロセスが求められます。

  • 言語対応:計画書は日本語だけでなく、外国人本人が十分に理解できる言語(母国語や対訳付き)で作成する必要があります。
  • 説明・交付・署名:支援計画の内容を外国人本人へ丁寧に説明して十分に理解させた上で、計画書の写しを本人に交付し、本人による署名を得る必要があります。

実務のポイント:登録支援機関へ全部委託する場合は、外国人本人への事前ガイダンス等をどの言語で実施する予定なのかを確認したうえで、その言語が登録支援機関から出入国在留管理庁へ届け出られている「対応可能な言語」に含まれているかを確認しましょう。例えば、ベトナム人の場合、ベトナム語で事前ガイダンスを実施するのであれば、登録支援機関の対応可能言語として「ベトナム語」が届け出られているかを確認します。届け出のない言語で支援を実施すると、出入国在留管理庁から支援の実施状況について確認を受ける可能性があるため、委託前に確認しておくことが重要です。

3. 支援費用の本人負担厳禁(直接・間接を問わず)

外国人雇用の実務において、最も法令違反が指摘されやすい項目の一つが「費用負担の原則」です。

事前ガイダンス、送迎、生活オリエンテーション、通訳手配、相談対応などの義務的支援に要する費用は、受入れ企業(特定技能所属機関)または登録支援機関が負担しなければならず、直接的・間接的を問わず外国人に負担させることは厳禁とされています。

区分 費用の負担者 該当する費用の例
支援実施費用 受入れ企業(または登録支援機関) 通訳・翻訳費用、送迎の交通費・ガソリン代、オリエンテーション手配費など
生活実費・本人費用 外国人本人負担可(実費相当額) 家賃、水道光熱費、食費、本人の希望による日本語教室の受講料実費など

※給与からの控除や、後からの不当な徴収(天引きなど)も間接的な負担とみなされ欠格事由に該当する可能性があるため、十分ご注意ください。

4. 地方公共団体が実施する「共生施策」の確認と記載

地域社会における特定技能外国人の適正な在留を推進するため、計画書作成時には自治体(市区町村)との連携が義務付けられています。

【共生施策の確認】
外国人が勤務する事業所および住居地が属する市区町村のホームページ等を閲覧し、自治体が実施する共生施策(日本語教室、ゴミ出しルール、防災・地域イベント、各種相談窓口等)を確認します。

【計画書への反映】
確認した市区町村名、確認日、確認方法(Webサイト閲覧等)を計画書に記入し、共生施策を踏まえた具体的な支援内容を「Ⅳ 支援内容」の自由記入欄に記載します。

5. 支援責任者・支援担当者の要件と「中立性」

社内で登録支援機関に委託せず自社支援(自主支援)を行う場合、支援体制の構築において厳しい要件が課されます。

  • 人員の選任:社内で自社支援を行う場合、支援責任者および事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任する必要があります。
  • 中立性の確保(監督者の選任不可):外国人を直接監督する立場にある者(直属の上司や現場の管理職等)は、支援責任者・支援担当者になれません。業務上の監督関係にない別部署の職員(人事部や総務部のスタッフなど)を選任し、中立な体制を確保する必要があります。
  • 実施体制の実績要件:過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験など、法令で定められた適正な支援体制・実績要件を満たしている必要があります。

6. 支援の委託範囲の明記

自社で支援の一部を外部(登録支援機関など)に委託する場合、および全部委託を行う場合にも明確なルールが存在します。

【一部委託時の明記】
支援の一部を登録支援機関等に委託する場合は、委託する具体的な範囲を支援計画書に明示する必要があります。

【一部委託不可の項目】
10項目のうち「定期的な面談の実施および行政機関への通報」については、第三者への一部委託は認められていません(登録支援機関へ支援の全部委託を行う場合を除く)。自社支援を行う場合は、この面談・通報業務は社内の支援責任者・担当者が自ら行う必要があります。

【全部委託時の再委託禁止】
登録支援機関へ支援業務を全部委託する場合、委託を受けた登録支援機関が、その支援業務をさらに別の第三者へ再委託することはできません。そのため、受入れ企業が登録支援機関へ全部委託する場合は、契約先の登録支援機関が自ら支援業務を適切に実施できる体制を整えているか確認することが重要です。

7. 主な支援項目の具体的な作成・実施基準

義務的支援として定められている10項目のうち、特に実務上厳格な基準(時間・場所・方法など)が定められている主要項目のポイントをまとめました。

事前ガイダンス

申請前かつ特定技能雇用契約締結前に、対面またはテレビ電話(ビデオ通話)等で実施します(郵送やメールのみの案内は不可)。十分な理解を得るため、3時間程度行うことが推奨されています。

出入国時の送迎

入国時は空港等から事業所または住居まで送迎します。出国時は単に空港へ送るだけでなく、空港の保安検査場前まで同行し、入場を確認する必要があります。

適切な住居確保

居室の広さは1人当たり7.5㎡以上が必要です。社宅費等を給与控除する場合は実費相当額とし、会社が利益を得てはなりません。

生活オリエンテーション

入国後遅滞なく実施します。日本での生活ルールや手続き、防災知識等を網羅して説明する必要があり、理解を深めるため少なくとも8時間以上(生活環境に変化がない技能実習からの移行等でも4時間以上)行う必要があります。

支援計画書の作成日・本人の署名日と事前ガイダンスの整合性

支援計画書は、事前ガイダンスを実施する前に作成しておく必要があります。実務上は、「支援計画書を作成する → 事前ガイダンスを実施する → 外国人本人が内容を確認して署名する」という順番で進めると、書類上の整合性を保ちやすくなります。

そのため、例えば支援計画書の作成日が事前ガイダンスの実施日より後の日付になっていたり、外国人本人の署名日が事前ガイダンスの実施日より前の日付になっていたりすると、実際の手続きの流れと書類の記載が一致しないことになります。

申請前には、支援計画書の作成日、事前ガイダンスの実施日、本人の署名日などを確認し、実際に行った手続きの順序と書類上の日付に矛盾がないよう注意しましょう。

義務的支援を「実施予定なし」としない

支援計画書には、法令上必要となる義務的支援について、原則としてすべての項目を記載し、適切に実施することが求められます。

特に注意したいのが、義務的支援の項目について、支援計画書上で「実施予定なし」「支援なし」などと記載してしまうケースです。

客観的に見て支援が不要となる特段の事情がないにもかかわらず、義務的支援を「実施予定なし」としていると、出入国在留管理庁から、その理由や支援の実施方法について確認・指摘を受ける可能性があります。

「実施予定なし」とする場合には、本当にその支援が不要となる事情があるのかを確認し、必要に応じて理由を説明できるようにしておくことが重要です。

相談・苦情への対応時間に注意

義務的支援の一つである「相談・苦情への対応」については、外国人本人が相談しやすい体制を整えておく必要があります。

支援計画書に記載する相談・苦情への対応可能時間については、土曜日または日曜日のいずれかを含めて設定する必要があります。平日の勤務時間帯だけを対応可能時間として記載するのではなく、外国人本人が実際に相談しやすい時間帯を確保することが重要です。

例えば、月曜日から金曜日までしか対応できない体制としてしまうと、支援計画書の内容について確認を受ける可能性があります。支援担当者や登録支援機関の対応体制を事前に確認し、土曜日または日曜日の少なくともいずれかに相談・苦情へ対応できる時間を設定できるかを確認しておきましょう。

まとめ:適切な支援計画書の作成でトラブルを防ぐ

1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)の作成は、単なる書類上の手続きではなく、特定技能外国人が日本で安心して働き、貴社で定着・活躍するための基盤となる重要な業務です。

義務的支援の網羅、費用負担の適正化、中立な支援体制の構築など、出入国在留管理庁の運用要領を正確に把握し、コンプライアンスに則った実務運用を行いましょう。


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