特定技能の申請方法と注意点マニュアル|企業要件・必要書類・受取の流れまで全分野解説
外国人の雇用を検討している、あるいは受入手続きを進めている企業の採用・人事担当者様へ。
「特定技能の申請手続きは複雑で全体像がつかみにくい」「提出書類の不備で不許可になったらどうしよう」「分野ごとの上乗せ要件が分からない」といったお悩みを抱えていませんか?
特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するための即戦力人材として大きな期待が寄せられています。しかし、入管法令や労働関係法令に基づく審査基準は非常に厳格であり、法務省・出入国在留管理庁が定める各種「運用要領」の改正に伴い、常に最新の基準に合わせた適切な手続きが求められます。
本記事では、企業の外国人雇用担当者様が押さえるべき「特定技能申請の全体像・具体的な流れ・落とし穴となりやすい注意点」を全分野対応で分かりやすく解説します。
📌 この記事で分かること(目次)
- 企業(特定技能所属機関)と外国人本人に求められる必須要件
- 申請種別(認定・変更・更新)と申請方法(窓口・オンライン)の選択基準
- 特定技能雇用契約書・支援計画書・提出書類チェックリストの作成ポイント
- 産業分野ごとの上乗せ書類(協議会加入・事業所認定等)の注意点
- 新しい在留カード・在留資格認定証明書(COE)受取までの流れ
目次
Toggle企業要件の確認(協議会など)
特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、法的に定められた基準を満たしている必要があります。要件を満たしていない場合、申請を行っても不許可となるだけでなく、最悪の場合は一定期間の受入停止処分を受けるリスクがあります。
1. 労働・社会保険・租税関係法令の遵守
企業側に労働保険(雇用保険・労災保険)、社会保険(健康保険・厚生年金)、国税・地方税(法人税・法人住民税など)の滞納・未納が一切ないことが条件です。分納(換価の猶予・納税の猶予)の許可を受けている場合を除き、過去の未納がある場合は申請前に完納し、証明書を取得しなければなりません。
2. 欠格事由への不該当と過去の不祥事がないこと
- 非自発的離職者を発生させていないこと: 申請前の1年以内に、受入れようとする業務と同種の業務に従事していた労働者を会社都合で離職(解雇や希望退職・退職勧奨等)させていないこと。
- 行方不明者を発生させていないこと: 過去1年以内に、企業の責に帰すべき事由により失踪者を発生させていないこと。
- 法令違反がないこと: 過去5年以内に労働基準法や入管法などの関係法令違反による刑事罰や改善命令等を受けていないこと。
3. 分野別協議会への加入
特定技能制度では、受入れ分野ごとに構成される「分野別協議会」(厚生労働省、国土交通省、経済産業省、農林水産省等が設置)へ加入することが義務付けられています。
【重要】協議会加入のタイミング
「申請前の加入」が必須となります。手続きの順序を間違えると在留資格の交付が遅れるため事前加入が不可欠です。
申請人要件の確認(試験、未納など)
雇用する外国人本人(申請人)についても、特定技能の在留資格を得るための基本要件を満たしているか確認します。
1. 基本要件(年齢・健康状態)
- 年齢: 18歳以上であること。
- 健康状態: 業務を支障なく継続して行える健康状態であること(指定項目を満たした医師の診断書が必要)。
2. 技能水準および日本語能力水準の立証
原則として、以下の試験に合格することで要件を満たします。
| 確認項目 | 立証方法・対象試験 |
|---|---|
| 技能水準 | 各分野が実施する「特定技能評価試験」への合格 |
| 日本語能力 | 「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT N4以上)」への合格 ※介護分野等は固有の追加試験(介護日本語評価試験)が必要 |
💡 技能実習2号からの移行特例
「技能実習2号」を良好に修了した外国人は、技能実習時の職種・作業と特定技能の業務区分に関連性がある場合、技能試験・日本語試験の両方が免除されます。一方、技能実習時の職種・作業と特定技能の業務区分に関連性がない場合は、日本語試験のみ免除され、特定技能の技能試験については合格が必要です。
なお、介護分野では、技能実習2号を良好に修了していても、介護日本語評価試験は免除されません。介護分野で特定技能1号への移行を希望する場合は、必要な試験について別途確認が必要です。
3. 公的義務(税・社会保険・年金)の納付状況【最重要チェック項目】
日本に在留歴がある外国人(留学や技能実習から切り替える場合など)の場合、個人住民税、国民健康保険料(税)、国民年金の未納・滞納が審査で極めて厳しくチェックされます。
未納分が残っていたりすると、申請は不許可になります。未納がある場合は、申請前に全額納付のうえ納付証明書を揃え、期限遅延がある場合は理由書等を準備する必要があります。
申請種別(認定・変更・更新)
特定技能の手続きは、対象となる外国人の現在の状況により3つの申請種別に分かれます。
- 在留資格認定証明書交付申請(認定):
海外から新たに外国人を呼び出して雇い入れる場合の手続きです。出入国在留管理局から認定証明書(COE)の発行を受けた後、現地の日本大使館・領事館でビザ発給を受けます。 - 在留資格変更許可申請(変更):
既に日本に在留している外国人(技能実習生からの切り替え、留学生からの採用、他社からの転職など)を特定技能として雇用する場合の手続きです。許可が下りるまで新しい業務に従事させることはできません。 - 在留期間更新許可申請(更新):
現在特定技能で自社で就労している外国人の在留期間を伸ばす手続きです。特定技能1号の通算在留期間上限(原則5年)の範囲内で、4ヶ月から3年ごとに更新を行います。
申請方法(窓口・オンライン)
特定技能の在留申請は、「地方出入国在留管理局の窓口での出頭申請」と「電子出入国在留管理システムを利用したオンライン申請」のいずれかを選択できます。
| 項目 | 窓口申請 | オンライン申請 |
|---|---|---|
| 申請方法 | 管轄の出入国在留管理局窓口へ出頭して申請 | WEB上の専用システムから申請 |
| メリット・特徴 | 窓口で書類を提出するため、提出時に不備の一次確認を受けられる場合がある | 出入国在留管理局へ出向く必要がなく、移動や待ち時間を削減できるほか、窓口申請より手数料が安くなる |
| デメリット・注意点 | 公的機関が発行する書類や一部の署名・サインが必要な書類について、原本の提出が必要となる場合がある | システム障害や通信トラブル等により、予定していたタイミングで申請できなくなる可能性がある |
※オンライン申請を利用するためには、事前の利用機関登録が必要です。オンライン申請を利用できる申請については、窓口へ出向くことなく手続きを行うことができます。
提出書類省略要件の確認
特定技能制度では、特定技能外国人の受入れ実績が一定以上ある企業や、適正な管理が行われていると認められる優良な受入機関(特定技能所属機関)について、一部の立証書類(企業の財務関係資料や役員誓約書などの「適格性書類」)の提出を省略できる「提出書類の省略特例」が用意されています。
主な省略要件の例
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、源泉徴収税額が1,000万円以上ある機関
- 日本の証券取引所に上場している企業
省略特例を活用することで、作成・収集する書類のボリュームを大幅に削減し、審査の迅速化を図ることができます。
表紙(一覧表)の確認
特定技能の申請書類は、基本様式・添付資料を含めると数十枚から100枚近くに及ぶ膨大な量になります。
出入国在留管理庁のホームページから、申請種別ごとの「提出書類一覧表(チェックリスト兼表紙)」をダウンロードし、必要書類の不足がないか、並び順が指定通りになっているかを必ず確認してください。
実務のコツ
この「一覧表」自体を表紙として書類の1番上にセットし、各書類のチェックボックスにチェックを入れた状態で提出します。これにより、提出書類の確認がしやすくなり、書類の不足や提出漏れの防止にもつながります。
⚠️ 必ず最新の一覧表を使用しましょう
特定技能の申請に必要な書類や提出方法は変更されることがあり、「提出書類一覧表(チェックリスト兼表紙)」も年に数回、内容が更新されることがあります。以前ダウンロードした一覧表をそのまま使用せず、申請の都度、出入国在留管理庁のホームページを確認し、最新の一覧表をダウンロードして使用することが重要です。
🔗 入管HP
在留資格「特定技能」←一覧表のダウンロードはこちらのページから
添付資料の注意点(健康診断、課税納税、源泉、合格証など)
申請書に添えて提出する添付資料には、有効期限や記載内容について細かい注意点が存在します。不備があると差し戻しや追加資料提出通知(再提出)の原因になります。
1. 健康診断個人票(参考様式第1-3号)
- 指定のフォーマット(または同等の診断項目を満たした書式)を使用し、医師の診断・署名・捺印が必須。
- 認定申請(海外から呼出し)の場合は申請前3ヶ月以内、変更申請(国内切り替え)の場合は申請前1年以内に受診したものが有効。
- 胸部X線検査で「異常所見あり」と判定された場合、結核でないことを証明する追加の精密検査(喀痰検査等)の結果添付が必要。
2. 課税証明書・納税証明書
- 企業側: 法人税、消費税、法人住民税、労働保険料、社会保険料の納付証明書。
- 外国人本人側: 直近年度の個人住民税の課税・納税証明書(未納がないことが明記された「その3」など)。
- 発行から3ヶ月以内の公的証明書を提出。
3. 源泉徴収票・給与明細および給与振込口座通帳の写し
国内で既に働いている外国人からの切り替えや更新の場合、公的義務の履行状況や適正な賃金支払(日本人と同等以上の報酬)の実態を確認するため、直近の源泉徴収票や賃金台帳・給与明細の提示が求められます。
4. 試験合格証または評価調書
- 技能試験・日本語試験の合格証の写し。
- 技能実習からの移行の場合は、技能検定3級等の合格証、または実習実施者が作成した「技能実習生に関する評価調書(参考様式第1-2号)」。
5. 二国間取決めにおいて定められた遵守すべき手続に係る書類
特定技能外国人の受入れにあたっては、日本と外国人の国籍国との間で締結された二国間取決め(協力覚書等)に基づき、国籍国側で所定の手続きを行うことが求められる場合があります。
この手続きに関連して提出される書類は、実務上、「推薦者表」「推薦状」「大使館の推薦状」など、さまざまな呼び方をされることがあります。
- 書類の内容:二国間取決めに基づき、特定技能外国人として日本で就労することについて、国籍国側の所定の手続きを経ていることを確認するための書類です。
- 発行・取得先:手続きや発行・取得先は国籍や手続きの内容によって異なります。在日大使館・領事館等の在日公館や、国籍国の政府機関等が関係する場合があります。
- 現在、提出が必要となる場合がある国:現在、ベトナム国籍及びカンボジア国籍の方について、在留申請の際にこの手続きに係る書類の提出が必要となる場合があります。
- 注意点:書類の取得に一定の期間を要する場合があります。また、必要な手続きや書類は変更される可能性があるため、申請時点での最新情報を確認することが重要です。
⚠️ 申請前に最新の手続きを確認しましょう
「推薦者表」「推薦状」「大使館の推薦状」など、実務上さまざまな名称で呼ばれることがありますが、重要なのは名称ではなく、二国間取決めに基づく所定の手続きを完了し、必要な書類を準備することです。特にベトナム国籍及びカンボジア国籍の方については、在留申請の準備段階で必要な手続きの有無を確認しておきましょう。
様式書類の作成方法
入管が指定する法定参考様式(参考様式第1-1号〜各号)に従い、正確に書類を作成します。主要な様式の作成ポイントは以下の通りです。
1. 特定技能雇用契約書・雇用条件書(参考様式第1-5号・1-6号)
- 報酬額の同等性: 同等の業務に従事する日本人労働者の賃金水準と比較し、「日本人と同等以上」の報酬であることを明記します。
- 一時帰国休暇: 外国人から一時帰国の申出があった場合、有給休暇等の取得を認める旨の規定を必ず盛り込みます。
- 帰国旅費の負担: 本人が帰国費用を負担できない場合、受入企業が帰国費用を負担する旨(帰国担保措置)を規定します。
2. 1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)
受入企業(または委託を受けた登録支援機関)が実施する「義務的支援」の内容を具体的に記載します。
- 事前ガイダンス(対面またはテレビ電話等で実施、3時間程度)
- 出入国時の送迎(空港から事業所・住居までの送迎、出国時は保安検査場通過の確認まで)
- 住居確保の支援(賃貸契約の連帯保証人になる、または社宅の提供。居室面積は1人当たり7.5㎡以上が必要)
- 生活オリエンテーション(日本の生活ルール、交通マナー、防災、緊急時の連絡先等の説明。8時間以上実施)
- 公的手続きへの同行、日本語学習機会の提供、相談・苦情への対応(母国語での対応体制)
- 日本人との交流促進、転職支援(会社都合解雇時の次の就職先探し)
- 定期的な面談の実施(3ヶ月に1回以上、外国人本人および直接の監督者と面談を実施し、行政機関へ通報)
3. 本人が理解できる言語への翻訳と自署
雇用契約書や支援計画書などは、「申請人本人が十分に理解できる言語(母国語等)」に翻訳した書面を用意し、内容を十分に説明した上で、外国人本人の自署(サイン)を得る必要があります。
「分野別上乗せ書類(協議会加入証明書や事業所認定証等)」
特定技能制度では、全分野共通の基準に加え、各産業分野(省庁)ごとに特定の告示基準(分野別上乗せ要件)が設定されています。共通書類に加えて各分野固有の証明書類を添付しなければ申請は受け付けられません。
| 対象分野 | 分野別の上乗せ書類・必要要件 |
|---|---|
| 介護分野 | ・介護分野特定技能協議会構成員証明書 ・事業所の概要書(人員配置基準・受入枠の確認) ※受入人数制限:日本人常勤介護職員の総数を超えないこと |
| 建設分野 | ・国土交通省による「建設特定技能受入計画認定証」の写し(必須) ・建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者ID・技能者ID登録資料 ※受入人数制限:常勤職員数を超えないこと/報酬は月給制必須 |
| ビルクリーニング分野 | ・建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録証明書(受入営業所単位) ・ビルクリーニング分野特定技能協議会構成員証明書 |
| 工業製品製造業分野 | ・経済産業省の指定する「登録法人」または協議会の構成員証明書 ・受入事業所が対象日本標準産業分類(製造品出荷額等が発生していること)に合致する立証資料 |
| 造船・舶用工業分野 | ・国土交通省(海事局)による「造船・舶用工業事業者確認通知書」の写し ・造船・舶用工業分野特定技能協議会構成員証明書 |
| 自動車整備分野 | ・地方運輸局長による「自動車特定整備事業」の認証書の写し ・自動車整備分野特定技能協議会構成員証明書 |
提出前チェックリスト
出入国在留管理局へ書類を提出・送信する直前に、以下の最終確認チェックを行ってください。不備を未然に防ぐことが審査期間短縮の最大の鍵です。
- ▢ 公的証明書の期限: 住民票、課税・納税証明書、登記事項証明書等は発行から3ヶ月以内か?
- ▢ 健康診断の受診日: 認定申請は3ヶ月以内、変更申請は1年以内の受診になっているか?
- ▢ 署名・押印漏れ: 申請書、雇用契約書、支援計画書、誓約書に本人・代表者の署名漏れはないか?
- ▢ 母国語翻訳の添付: 外国人本人が理解できる言語に翻訳された原本・原本控がセットされているか?
- ▢ 報酬額の条件: 基本給が同等業務の日本人と同等以上(最低賃金以上・月給制等)になっているか?
- ▢ 税金・社会保険の未納解消: 企業側・外国人本人側ともに未納・滞納がないことの証明が取れているか?
- ▢ 分野別上乗せ書類: 各省庁への受入計画認定証や協議会の加入証明書が最新の状態で添付されているか?
新在留カード・認定証の受け取り方法(郵送・窓口・電子)
審査が完了し、無事に許可(または認定)が下りた後の受け取り手続きを行います。
1. 認定申請(COE)の場合(海外からの呼出し)
審査が通過すると、「在留資格認定証明書(COE)」が発行されます。現在はデジタル化に伴い「電子交付(電子COE)」を選択することが可能です。電子交付の場合はメールで届いた通知データを海外の受入外国人へメール送信し、現地日本大使館でのビザ発給申請に使用できます。
2. 変更申請・更新申請の場合(日本国内での手続き)
入管から「許可通知ハガキ(またはメール)」が届きます。
- 窓口受け取り: 許可通知ハガキ、パスポート原本、現在の在留カード原本、手数料分の収入印紙を持参して管轄入管の窓口へ出頭し、新しい在留カードを受け取ります。
- 郵送受け取り(オンライン申請時): オンライン申請を行った場合は、必要書類と納付書、返信用封筒(簡易書留等)を入管へ郵送することで、新しい在留カードを郵送で受け取ることが可能です。
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