【行政書士解説】特定技能「飲食料品製造業」とは?業務内容・1号2号の違い・2号移行手順を徹底網羅

人口減少が進む日本において、食品製造の現場でも人手不足が一段と深刻化しています。そうした課題を解決する手段として注目されているのが、即戦力の外国人を雇用できる在留資格「特定技能(飲食料品製造業)」です。

しかし、制度を活用したい企業の採用・人事担当者様からは「具体的にどのような作業を行わせることができるのか?」「1号と2号で何が異なるのか?」「特定技能2号へ移行するための条件や申込手順を知りたい」といった声が多く寄せられます。

そこで本記事では、行政書士法人の実務目線から、特定技能「飲食料品製造業」の業務内容の詳細、1号と2号の違い、2号への具体的な移行手続きや注意点までを分かりやすく徹底解説します。

この記事でわかること(目次)

  • 特定技能「飲食料品製造業分野」の基本概要と受入対象となる工場・事業者
  • 飲食料品製造業で従事できる業務内容の詳細(できること・できないこと)
  • 特定技能「1号」と「2号」の違いを一覧で比較(在留期間・家族帯同・技能レベル)
  • 特定技能1号から2号へ移行するための要件と具体的な申請ステップ
  • 【重要注意点】2号試験は「企業申し込み限定」&「実務経験」の証明タイミング
  • 受入企業(特定技能所属機関)が守るべき法令・コンプライアンス上の注意点

特定技能「飲食料品製造業分野」とは?制度の基礎知識

「特定技能」制度は、国内で深刻な人手不足が生じている産業において、一定の専門性や技能をもった外国人を受け入れるための在留資格です。「飲食料品製造業」はその対象分野の一つとして定められています。

飲食料品製造業分野では、食品工場や製造施設において、加工・製造から衛生管理まで幅広い製造ライン業務を即戦力として担う人材の受入れが進んでいます。

受入可能な工場・事業所の条件

特定技能外国人を飲食料品製造業分野で雇用するためには、事業所が以下の要件を満たしている必要があります。

  • 日本標準産業分類の対象産業に該当すること
    主として食品製造業(清涼飲料製造業、パン・菓子製造業、水産食料品製造業、肉製品製造業など)を営んでいる工場・事業所であること。
  • 食品衛生法上の営業許可等を受けていること
    HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理を含め、食品衛生法上の適切な許可・整備がなされていること。
  • 農林水産省が設置する「食品産業特定技能協議会」に加入すること
    受け入れ後、一定期間内に協議会の構成員となり、必要な協力や調査に応じる義務があります。

※注意点:外食業(飲食店での調理・接客)や、酒類の製造(酒税法の適用対象)などは「飲食料品製造業分野」の対象外となるため、自社の製造物が該当するか事前の確認が必要です。

特定技能「飲食料品製造業」で従事可能な業務内容の詳細

特定技能「飲食料品製造業分野」で受け入れる外国人が従事できる業務は、制度上で規定されています。現場での現場トラブルや不法就労(資格外活動)を防ぐため、業務の範囲を正しく理解しておきましょう。

1. 主たる業務(従事可能な基本業務)

酒類を除く飲食料品全般の製造・加工、安全衛生の確保、調合、成形、加熱、冷却、包装、検品といった一連の製造ライン業務に従事できます。

製造工程の例 具体的な業務内容
原料処理・調合 食材の洗浄・下処理、カット、計量、レシピに基づいた調合や練り合わせ作業など
加熱・加工・成形 機械を使用したスライス・成形、加熱調理(ボイル・焼成・油揚げ等)、急速冷却処理など
充填・包装・検品 容器への詰め込み、ラベル貼り、箱詰め、金属検出器やウエイトチェッカー等による検査など
衛生管理・清掃 製造ライン・機械設備の洗浄・消毒、工場内の衛生管理・品質管理補助作業など

2. 付随業務(関連業務)について

主たる製造業務に従事する日本人が「通常従事することになる関連業務」であれば、付随的に従事させることが可能です。

  • 原材料や資材の搬入・受入・運搬作業
  • 完成した製品の倉庫への搬入・出荷準備作業
  • 製造ライン設備や器具の点検・かんたんな保守管理作業
  • 製造現場や休憩室等の清掃・整理整頓

※注意点:倉庫内でのフォークリフト運搬や施設清掃などの「付随業務」のみに専ら従事させることは認められません。あくまで製造・加工という主たる業務を行っていることが前提です。

3. 従事できない業務(NG例)

以下の業務は飲食料品製造業分野の対象外(あるいは他分野の対象)となります。

  • 酒類の製造(ビール、清酒、焼酎などの酒類製造ライン業務)
  • 飲食店での調理や接客(レストラン、居酒屋等の客席がある店舗での調理・接客は「外食業分野」となります)
  • 店舗での単純販売作業(スーパーのレジ打ちや売店での接客販売)

特定技能「1号」と「2号」の違いを比較

これまで飲食料品製造業分野では「特定技能1号」のみが受入可能でしたが、制度改正により本分野でも「特定技能2号」の受入れができるようになりました。1号と2号の主な違いを以下の表にまとめました。

比較項目 特定技能1号(飲食料品製造) 特定技能2号(飲食料品製造)
技能水準 相当程度の知識・技能(現場での即戦力レベル) 熟練した技能(製造ラインの管理・複数の作業員の指導ができるレベル)
在留期間の上限 通算で最長5年まで 上限なし(更新により長期雇用・将来的な永住申請も可能)
家族の帯同 原則不可(配偶者・子の呼び寄せ不可) 可能(要件を満たせば配偶者や子を呼び寄せて同居可能)
受入企業の支援義務 必須(生活オリエンテーション、住居確保、送迎等) 対象外(自立した生活が前提となるため義務的支援枠組みからは外れる)
必要資格・試験等 飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験
+ 日本語試験(JLPT N4以上またはJFT-Basic)
※技能実習2号良好修了者は免除
飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験
+ 製造現場における複数の作業員への指導・管理実務経験(2年以上)

特定技能2号を活用することで、最長5年の期間上限によって帰国せざるを得なかった優秀な人材を、工場の班長やラインリーダーなどの「幹部候補・長期コア人材」として永続的に雇用し続けることが可能になります。

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特定技能1号から2号へ!具体的な移行手順と重要注意点

特定技能1号として勤務している外国人を「特定技能2号」へステップアップ(在留資格変更)させるための具体手順と、実務上間違いやすい重要ポイントを解説します。

2号移行要件と「日本語要件不要」のポイント

飲食料品製造業分野で特定技能2号を取得するには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 飲食料品製造業特定技能2号評価試験への合格
    一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)等が実施する2号評価試験(高度な品質・衛生管理、HACCPの運用、生産管理等)に合格すること。
  2. 2年以上の指導・管理実務経験(要証明)
    製造現場において、複数の作業員(アルバイトや後輩の特定技能生など)を指導・監督しながら製造業務に従事し、ラインリーダーや副班長等として工程管理・衛生管理を補助した2年以上の実務経験が必要です。

【注目ポイント:2号移行時の日本語試験は不要】
外食業分野など一部の分野では2号移行時に日本語能力試験(N3以上)が求められますが、飲食料品製造業分野の特定技能2号では日本語試験の受験・合格要件はありません。2号技能評価試験の合格と、2年以上の管理等実務経験があれば申請要件を満たします。

【重要】2号試験の申し込みは「企業マイページ登録」が必要

飲食料品製造業の特定技能2号技能測定試験(OTAFF主催等)は、個人だけで申し込むことができません。企業が試験実施機関のシステムに「企業マイページ」を開設し、企業側から受験者登録・申し込みを行う必要があります。

これは、受験資格である「2年以上の指導・管理実務経験」を証明できるのが雇用主である企業(事業者)のみであるためです。受験申し込みの段階で、企業が発行する「指導等実務経験証明書」や職務命令書、辞令等の提出が求められます(※実務経験が入管庁への申請時ではなく、試験受験時に必要となる点にご注意ください)。

2号移行手続きの具体ステップ

ステップ1:社内での実務経験の付与と証明書の作成

対象者にラインリーダーや副班長などの役割を与え、複数スタッフへの作業指導・衛生管理・進捗管理等の実績(2年以上)を積ませます。企業として規定様式に基づき「実務経験証明書」を作成・準備します。

ステップ2:企業マイページからの受検者登録・試験申込

OTAFFの「企業マイページ」を開設・ログインし、受検者登録と実務経験証明書の提出を行います。承認後、企業から申し込みを行うか、本人が2号技能評価試験を受験・合格を目指します。

ステップ3:雇用契約の見直し・更新(条件変更)

2号へ移行するにあたり、熟練した技能や現場管理責任に応じた給与・待遇(日本人のベテラン社員と同等以上)への改定を行い、新たな雇用契約を締結します。

ステップ4:出入国在留管理局へ在留資格変更許可申請

2号評価試験合格証、新雇用契約書、各種様式書類等を揃えて、出入国在留管理局(入管)へ「特定技能1号」から「特定技能2号」への変更許可申請を行います。

受入企業(特定技能所属機関)が気をつけるべき注意点

特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、出入国管理関係法令や労働関係法令を遵守する必要があります。特に以下のポイントに注意が必要です。

日本人と同等以上の報酬を担保すること

特定技能外国人の賃金は、同等の経験・技能を持つ日本人従業員と同等以上でなければなりません。外国人であることを理由に賃金を不当に低く設定することは厳格に禁止されており、違反した場合は受入停止などのペナルティを受けることになります。

1号特定技能外国人への義務的支援の実施

1号外国人を受け入れる場合、入国前の事前ガイダンス、送迎、住宅確保(1人当たり7.5㎡以上の居室面積の確保など)、生活オリエンテーション、定期面談(3ヶ月に1回以上)などの「義務的支援」を適切に行わなければなりません。自社で実施できない場合は、「登録支援機関」に支援の全部を委託することが可能です。

定期届出および随時届出の徹底

受入企業は、1年ごとに「受入れ・活動・支援実施状況」に関する定期報告を入管へ提出する義務があります。また、受入が困難になった場合や雇用契約内容に変更が生じた場合は随時届出が必要です。届出を怠ると是正命令や欠格事由に該当する可能性があるため、適切な労務管理が求められます。

まとめ:特定技能「飲食料品製造業」で安定した工場雇用の実現を

特定技能「飲食料品製造業分野」の活用は、食品工場の慢性的な人手不足を解消する強力な手段です。さらに特定技能2号制度を活用すれば、自社で育成した優秀な人材を最長5年の制限なく、長期にわたり現場のリーダーとして活躍させることができます。

ただし、2号試験受験に必要な「企業申し込み手続き」や「試験前の実務経験証明」、入管へのビザ変更申請、日頃のコンプライアンス管理など、手続きには専門的な知識が求められます。複雑な手続きや法令対応に不安がある場合は、外国人雇用の専門家である行政書士法人への相談をおすすめします。


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