【企業向け】外国人雇用状況の届出とは?手続き・期限と罰則を解説

「外国人採用を始めたけれど、どんな手続きが必要なのかよく分からない…」
「もし提出を忘れたら、会社にペナルティはあるのだろうか…?」

少子高齢化による人手不足を背景に、外国人を雇用する企業が急増しています。しかし、外国人を雇い入れる、あるいは退職させる際には、日本人とは異なる「法律上の義務(届出)」が課されていることをご存じでしょうか。

万が一、必要な届出を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合、最大で30万円の罰金が科されるだけでなく、最悪のケースでは不法就労助長罪に問われ、「今後5年間外国人を雇えなくなる」という重大なリスクに直面することもあります。

この記事では、企業の外国人雇用担当者が必ず押さえておくべき「外国人雇用状況の届出」を中心に、特定技能や在留資格変更時の手続き、絶対に避けるべき重大なペナルティまで、行政書士法人の視点から初心者にも分かりやすく網羅的に解説します。

すべての企業に義務づけられた「外国人雇用状況の届出」とは?

外国人を雇用した際、および退職させた際に、すべての事業主が必ず行わなければならない手続き、それが「外国人雇用状況の届出」です。これは労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)に基づいて義務づけられています。

対象となる外国人の範囲

「うちはアルバイトの留学生だから関係ない」「永住者だから日本人と同じでいいのでは?」と勘違いされがちですが、原則として日本国籍を持たないすべての外国人が対象です。

  • 正社員(「技術・人文知識・国際業務」など)
  • アルバイト(「留学」「家族滞在」など)
  • 身分系の在留資格(「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」など)
  • 技能実習生・特定技能外国人

※注意:特別永住者(在日韓国人・朝鮮人・台湾人など)、および在留資格「外交」「公用」の外国人は届出の対象外となります。

届出の期限と提出先

手続きは、外国人が加入する労働保険(雇用保険)の対象かどうかによって、窓口や期限が異なります。以下の表で整理して覚えましょう。

外国人の区分 提出窓口 提出期限
雇用保険に加入する人
(正社員、週20時間以上のアルバイトなど)
ハローワーク
(雇用保険の資格取得届・喪失届と一体化)
雇入れ・退職の翌月10日まで
雇用保険に加入しない人
(週20時間未満の留学生アルバイトなど)
ハローワーク
(外国人雇用状況届出書 単体で提出)
雇入れ・退職の当月末日まで

現在では、インターネット(「ハローワークインターネットサービス」など)からオンラインで24時間いつでも届出が可能です。ペーパーレスかつスピーディに進めるためにも、電子届出の体制を整えておくことを強くおすすめします。

届出時に必須!「在留カード」の正しい確認ポイント

外国人雇用状況の届出を行う際、事業主は対象の外国人から「在留カード」の提示を受け、その内容を正確に確認・記録しなければなりません。ハローワークに以下の情報を報告する必要があるためです。

  1. 氏名(ローマ字表記)
  2. 在留資格の種類
  3. 在留期間および在留期間の満了日
  4. 在留カード番号
  5. 資格外活動許可の有無(アルバイトを雇う場合)

【超重要】過失であっても処罰される「不法就労助長罪」の恐怖
もし、雇用した外国人が「期限切れの在留カード」を持っていたり、「就労不可の在留資格(就労制限あり)」だったりした場合、会社は不法就労助長罪(3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方)に問われる恐れがあります。
「偽造カードだとは知らなかった」「確認をうっかり忘れていた」という言い訳は一切通用しません。目視だけでなく、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会アプリ」等を利用し、カードが有効であるかを確実に確認してください。

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在留管理のために知っておくべき「もう一つの届出窓口」

ここまで解説したハローワークへの「外国人雇用状況の届出」は、あくまで労働市場の把握(厚生労働省管轄)のためのものです。
実はそれとは別に、日本の出入国在留管理を適切に行うため、出入国在留管理庁(入管)へ提出すべき届出が存在します。これが「所属機関に関する届出」です。

外国人本人の届出が基本、ただし会社側も要チェック

就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)を持つ外国人が転職・退職した場合、外国人本人が「契約機関に関する届出」を14日以内に入管に提出する義務があります。会社側は、退職する外国人に対して「入管への届出は忘れないようにね」とアナウンスしてあげることが、トラブルを防ぐマナーです。

企業側(所属機関)の届出が必要なケース

企業側も、会社の「名称変更」「目的変更」「本店の所在地変更」「法人の消滅」「企業間の合併・分割」などがあった場合には、14日以内に入管(地方出入国在留管理局)へ「所属機関の変更届出」を行わなければなりません。これを怠ると、雇用している外国人のビザ更新(在留期間更新許可申請)の審査に重大な悪影響を及ぼします。

【要注意】特定技能外国人を雇用する場合の「膨大な定期・随時届出」

近年、特に人手不足が深刻な特定産業分野(介護、外食、建設、製造、自動車運送など)で広く活用されている在留資格「特定技能」。この特定技能外国人を雇う場合、ハローワークへの通常の届出だけではまったく足りません。

特定技能所属機関(受け入れ企業)には、出入国管理及び難民認定法に基づき、非常に厳格な「定期届出」および「随時届出」が義務づけられています。

1. 毎年義務づけられる「定期届出」

特定技能外国人を1人でも雇用している場合、毎年4月1日から翌年3月31日までの受入れ活動・支援実施状況を取りまとめ、翌年の4月1日から5月31日までの間に入管へ報告しなければなりません(法改正等による運用の変更に注意してください)。

  • 受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(参考様式第3-6号)
  • 添付する適格性書類(労働保険・社会保険の納付証明書、国税・地方税の納税証明書、登記事項証明書など)

未納や滞納、不適切な労働環境(賃金不払いや過度な残業など)が発覚した場合は即座に基準不適合となり、受入れ停止処分の対象となります。

2. 事由が発生するたびに行う「随時届出」

雇用契約の内容や会社の体制に変更があった場合、「事由が生じた日から14日以内」に以下の届出を行う必要があります。

  • 特定技能雇用契約の変更・終了・新たな締結の届出
  • 1号特定技能外国人支援計画の変更の届出(支援責任者・担当者の変更、登録支援機関への委託先の変更など)
  • 登録支援機関との委託契約に関する届出(契約の締結・変更・終了)
  • 受入れ困難に係る届出(会社の経営悪化による解雇予告、外国人の失踪や行方不明、死亡、産休・育休・病気怪我による1か月以上の活動未実施など)

手続きが非常に複雑なため、自社での一元管理が難しい場合は、クラウドツールを導入するか、外国人労務に強い行政書士などの専門家を活用するのが実務上のセオリーです。

届出を忘れた・虚偽の報告をした場合のペナルティ(罰則)まとめ

「忙しくて忘れていた」「少しくらい遅れても大丈夫だろう」という甘い考えは命取りになります。法令違反となった場合のペナルティをまとめました。

違反内容 対象となる法律 罰則・ペナルティの内容
ハローワークへの外国人雇用状況の
届出を怠った、または虚偽の届出
労働施策総合推進法
(第40条第1項第2号)
30万円以下の罰金
(法人の場合は両罰規定あり)
入管への特定技能雇用契約や
受入れ状況等の定期届出の不履行・虚偽
出入国管理及び難民認定法
(第71条の4第1号)
30万円以下の罰金
入管への特定技能支援計画の変更や
受入れ困難等の随時届出の不履行・虚偽
出入国管理及び難民認定法
(第77条の2)
10万円以下の過料

罰金や過料といった直接的な金銭ペナルティに加え、最も企業が恐れるべきは「労働・社会保険・租税関係法令を遵守していない」とみなされることです。
一度コンプライアンス違反の烙印を押されると、改善命令や是正指導の対象となるだけでなく、今後一切の外国人ビザ申請(新規呼び寄せ、在留期間更新、特定技能ビザなど)が不許可(不承認)になり、会社全体の採用計画が完全にストップしてしまいます。

まとめ:確実な届出と適切な労務管理が外国人採用成功の鍵

外国人の雇用に関する各種手続きは、入管法、労働基準法、労働施策総合推進法などが複雑に絡み合っており、人事・総務担当者にとって非常に負担の大きい実務です。
しかし、これらはすべて「義務」であり、怠った場合の企業リスクは計り知れません。

「在留資格の確認に不安がある」「特定技能の複雑な定期届出を確実にこなせる自信がない」「社内の労務管理を適法にアップデートしたい」とお悩みの場合は、ぜひ外国人雇用の専門家である行政書士法人までお気軽にご相談ください。貴社のスムーズで安心な外国人採用を全面的にバックアップいたします。


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