【実務マニュアル】特定技能の随時届出が必要なケースと提出書類・様式を徹底解説!
特定技能外国人を雇用している企業の皆さま、日々変化する入管手続きや労務管理に不安を感じていませんか?
特定技能制度では、定期届出だけでなく、会社や外国人に一定の変更やトラブルが生じた際にその都度提出しなければならない「随時届出」が義務付けられています。この随時届出は、「事由が生じた日から14日以内」に提出しなければならず、対応が遅れると重いペナルティを科されるリスクがあります。
本記事では、忙しい担当者の方がどの様式書類を出し、何を添付すればいいかがパッと分かるように、実務マニュアルを作成しました。社内で変更やトラブルが起きた際のチェックリストとしてご活用ください。
目次
Toggle特定技能の「随時届出」とは?基礎知識と提出ルール
特定技能所属機関(受入れ企業)は、出入国管理及び難民認定法に基づき、随時届出を行う義務があります。まずは実務をスムーズに進めるための基本ルールを押さえておきましょう。
随時届出の6つの種類
随時届出には、大きく分けて以下の6つのカテゴリーがあります。
- 特定技能雇用契約に係る届出(契約の変更・終了・新たな締結)
- 1号特定技能外国人支援計画変更に係る届出(支援責任者・担当者の変更など)
- 登録支援機関との支援委託契約に係る届出(委託の締結・終了・変更)
- 受入れ困難に係る届出(会社の都合による解雇、外国人の行方不明や病気休業など)
- 特定技能基準省令の基準不適合に係る届出(税金・社会保険の滞納、不正行為の発生など)
- 1号特定技能外国人支援計画の実施困難に係る届出(計画通りの支援ができない、行政機関への相談など)
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提出期限は「14日以内」!郵送は「入管必着」なので注意
すべての随時届出は、理由が発生した日から14日以内に提出しなければなりません。郵送で提出する場合は「消印有効」ではなく、14日以内に地方出入国在留管理局へ書類が「到達(必着)」している必要があります。
万が一期限を過ぎてしまった場合は、ただちに届出書を作成し、任意様式の「届出が遅延した理由を説明する文書(理由書)」を必ず添付して提出してください。
届出を怠った場合・虚偽の届出をした場合の罰則
届出を怠ったリ、嘘の記載をして提出したりした場合、以下の厳しいペナルティが科されます。
- 雇用契約の変更・終了・新規締結の不履行・虚偽 ⇒ 30万円以下の罰金(法人も罰せられる両罰規定あり)
- 支援計画、委託契約、受入れ困難、基準不適合の不履行・虚偽 ⇒ 10万円以下の過料
- 行政処分 ⇒ 5年間、新たな特定技能外国人の受入れが一切できなくなります。
※届出は窓口や郵送も可能ですが、オンラインで完結する「出入国在留管理庁電子届出システム」の利用が便利です。
【ケース別】提出書類・添付書類クイックチェック
各ケースの【提出する届出書】と【一緒に添付する書類】を見るだけで、必要な書類がすぐ分かります。
① 特定技能雇用契約の内容を変更したとき
雇用条件書(参考様式第1-6号)に記載されている労働条件を変更した場合に必要です。変更年月日(効力発生日)から14日以内に届け出ます。
【提出する届出書】
▶︎ 「特定技能雇用契約の変更に係る届出書(参考様式第3-1-1号)」
【一緒に添付する書類】
▶︎ 「変更後の雇用条件書(参考様式第1-6号)の写し」
※変更箇所のみを記載し、本人が理解できる言語の翻訳と署名(サイン)があるもの。
【特定の事由が発生した場合の追加添付書類】
- 就業場所(事業所)を変更した(転勤・掛け持ちなど):
⇒ 介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、自動車運送業、外食業分野では、新しい事業所の「営業許可証の写し」や「協議会構成員を証明する書類」などの追加添付が必要です。 - 労働者派遣の派遣先を変更・追加した(農業・漁業限定):
⇒ 「派遣計画書(参考様式第1-12号)」、「就業条件明示書の写し」、「派遣先の概要書」、「労働者派遣契約書の写し」、「派遣先の公租公課・社会保険の遵守証明資料」の添付が必要です。 - 同一分野内で「業務区分」を変更した(例:耕種農業から畜産農業へ):
⇒ 変更後の業務に必要な技能を有することを示す「技能試験の合格証明書の写し等」が必要です。 - 1年単位の変形労働時間制を新たに採用・変更した:
⇒ 労基署の受付印がある「変形労働時間制に関する協定書の写し」と「年間カレンダーの写し」が必要です。 - 基本給を減額した、または手当を廃止した(賃金ダウン・支給方法変更):
⇒ 当初の在留申請時から比較対象の日本人労働者が変わった場合は「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)」が必要です。
② 特定技能外国人との契約が終了したとき(退職・出国・資格変更)
外国人が離職・退職した場合や、日本を出国して戻らない場合、他の在留資格へ切り替えた場合に必要です。
【提出する届出書】
▶︎ 「特定技能雇用契約の終了又は締結に係る届出書(参考様式第3-1-2号)」
【一緒に添付する書類】
▶︎ なし
※会社都合の解雇や行方不明による契約終了の場合は、この届出を出す前に(または同時に)下記の「受入れ困難に係る届出」を出す必要があります。
③ 同じ外国人と在留期間内に再度契約を締結したとき
一時帰国などで一度契約を終了した外国人と、同じ在留期間内に再度契約を結び直したケースです。
【提出する届出書】
▶︎ 「特定技能雇用契約の終了又は締結に係る届出書(参考様式第3-1-2号)」
【一緒に添付する書類】
▶︎ 「新たな特定技能雇用契約書の写し(参考様式第1-5号)」
▶︎ 「新たな雇用条件書の写し(参考様式第1-6号)」
※建設分野の場合は、システム上での再申請とあらかじめ「新たな受入計画認定書の写し」の添付が必要です。
④ 1号特定技能外国人支援計画を変更したとき
社内の支援責任者・支援担当者を変更したときや、支援の実施方法・言語・時間を変更したときに必要です。
【提出する届出書】
▶︎ 「支援計画変更に係る届出書(参考様式第3-2号)」
【一緒に添付する書類】
▶︎ 「変更後の1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)の写し」
※変更があったページと、末尾の署名(会社名・責任者名記載)ページのみで可。
▶︎ 「支援担当者の履歴書(参考様式第2-6号)」
※社内の支援担当者を変更・追加した場合に必要です。
⑤ 登録支援機関との支援委託契約を締結・変更・終了したとき
支援計画の「全部の実施」を登録支援機関に委託している場合の届出です。
【提出する届出書】
▶︎ 新規締結・終了時:「支援委託契約の終了又は締結に係る届出書(参考様式第3-3-2号)」
▶︎ 契約内容の変更時:「支援委託契約の変更に係る届出書(参考様式第3-3-1号)」
【一緒に添付する書類】
▶︎ 「登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(参考様式第1-25号)」
※委託する登録支援機関を変更する場合は、終了届と開始届を兼ねた届出書(参考様式第3-3-2号)を提出し、あわせて④の「支援計画変更に係る届出書」もセットで提出します。
⑥ 特定技能外国人の「受入れが困難」になったとき
会社の経営悪化による解雇、外国人の失踪(行方不明)、病気やケガ・産休育休による1か月以上の長期休業などが発生した際、一番最初に行うべき極めて重要な届出です。
【提出する届出書】
▶︎ 「受入れ困難に係る届出書(参考様式第3-4号)」
【一緒に添付する書類】※原因・トラブルの内容に合わせて以下のいずれか1点
▶︎ 外国人が行方不明(失踪)になった場合:
「行方不明が判明した際の状況説明書(参考様式第5-15号)」
▶︎ 1か月以上の長期休業(病気・ケガ・産休育休)や、許可から1か月以上就労が始まらない場合:
「1か月以上の活動未実施期間が生じた際の状況説明書(参考様式第5-14号)」
▶︎ その他の理由(会社の都合による解雇・会社の倒産など):
「受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書(参考様式第5-11号)」
⑦ 会社が満たすべき省令の「基準不適合」になったとき
税金や社会保険料の滞納、同種業務を行う日本人労働者の会社都合解雇(リストラ・退職勧奨)、手当や報酬の未払い、その他労働関係法令違反による是正勧告など、会社側が受け入れ要件を満たさなくなった(満たさないことが分かった)場合に必要です。
【提出する届出書】
▶︎ 「特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令の基準不適合に係る届出書(参考様式第3-5号)」
【一緒に添付する書類】
▶︎ 「基準不適合に係る説明書(特定技能所属機関作成用)(参考様式第5-18号)」
▶︎ 「滞納の解消や法令違反の改善・是正状況が確認できる客観的資料」
⑧ 支援計画の実施(義務的支援の継続)が困難になったとき
自社で支援を行っている会社において、計画通りの支援が一部できなくなった場合や、面談・相談を通じて社内では解決できない重大な問題が発覚し、外部の行政機関や労基署などへ相談・通報を行った場合に必要です(登録支援機関に全部委託している場合は会社からの提出は不要です)。
【提出する届出書】
▶︎ 「1号特定技能外国人支援計画の実施困難に係る届出書(参考様式第3-7号)」
【一緒に添付する書類】※事由に合わせて以下のいずれか
▶︎ 予定していた支援の実施自体が困難になった場合:
「支援実施困難に係る理由書(参考様式第5-13号)」
▶︎ 外国人からの労働相談を受けて労基署等へ通報・相談した場合:
「相談記録書(参考様式第5-4号)の写し」
▶︎ リストラ等による離職者にハローワーク等の利用を斡旋する転職支援を行った場合:
「転職支援実施報告書(参考様式第5-12号)」
【重要】制度改正により「年1回」となった定期届出との関係
実務担当者の方が最も注意しなければならないのが、近年の制度改正によるルールの変化です。受入れ状況を一括して入管へ報告する「定期届出」の頻度は、これまでの四半期に1回(年4回)から「年に1回」へと変更されました。
これにより毎年の事務負担は一見ラクになったように見えますが、落とし穴があります。定期届出の間隔が「年1回」に広がったからこそ、何か変更や問題があった際にその都度行う「随時届出」の重要性が、入管の審査において相対的に非常に厳しく見られるようになっています。
「定期届出が年1回になったから、次の定期届出のタイミングでまとめて事後報告すればいいだろう」という解釈は完全に間違いです。いかなる理由があろうとも、本記事で解説した随時届出の事由が発生した場合は、発生から「14日以内」に個別の随時届出書を提出しなければ即座に法令違反(罰則や受け入れ停止処分)となります。年1回の定期届出と、14日い内の随時届出は完全に別物であるという点を強く意識して実務に臨んでください。
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よくある疑問を解消!特定技能「随時届出」Q&A
実務を進める中で、判断に迷いやすいポイントをQ&A形式でまとめました。
Q. 雇用契約の「就労開始予定日」が過ぎても本人が入国・就労できない場合、変更届は必要ですか?
A. 雇用契約の変更届自体は必要ありません。ただし、「受入れ困難に係る届出」が必要になります。
当初予定していた就労開始日から遅れたとしても、契約期間自体が変わらないのであれば変更届は不要です。しかし、入国や在留資格変更の許可を受けた日から1か月が経過しても就労を開始していない場合は、「1か月以上の活動未実施期間が生じた際の状況説明書(参考様式第5-14号)」を添付し、受入れ困難に係る届出を提出しなければなりません。
Q. 在留期間を更新(ビザ延長)するタイミングで労働条件を見直しました。更新申請の書類と一緒に提出すれば、随時届出の代わりになりますか?
A. 代わりにはなりません。更新申請とは別に、必ず14日以内に随時届出を提出してください。
在留期間更新許可申請を行うのは外国人本人であるため、そこで改正後の雇用条件書を入管に提出したとしても、特定技能所属機関(会社)に課された届出義務を果たしたことにはなりません。契約変更の日から14日以内に、別途「特定技能雇用契約の変更に係る届出書」の提出が必要です。
Q. 社内の「支援の実施担当者」が急に退職し、別の社員を後任にしました。計画の支援内容自体は何も変わっていませんが、届出は必要ですか?
A. はい、必要です。支援担当者の変更は「支援計画の変更届」の対象です。
支援内容に変更がなくても、実施担当者が変わった場合は変更があった日から14日以内に届け出る義務があります。変更後の「1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)」に加えて、新しい担当者の「支援担当者の履歴書(参考様式第2-6号)」を添付して提出してください。
Q. 会社業績の悪化で、予定していた「賞与(ボーナス)」を今回は支給しないことにしました。これも労働条件の変更届出が必要ですか?
A. 雇用条件書の記載内容によります。あらかじめ支給額が確定していた場合は届出が必要です。
雇用条件書の賞与欄に「業績により支給しない場合がある」等の記載がある場合は、不支給となっても届出の必要はありません。しかし、「○カ月分を支給する」など支給額が明確に定められていたにもかかわらず不支給とする場合は、「賃金の減額(労働条件の変更)」に該当するため、変更届出が必要になります。
Q. 届出書の作成や提出を、行政書士や弁護士以外の「外部のコンサルタント」や「紹介会社」に委任することはできますか?
A. 法律上、行政書士または弁護士以外の無資格者に書類作成を委任することはできません。
行政書士法等の法令に基づき、報酬を得て官公署へ提出する書類の作成を認められているのは、行政書士または弁護士の身分を有する方のみです。これら以外の無資格のコンサルタント等に書類作成を委任すると、法律に抵触するおそれがあるほか、適正な届出が履行されていないとみなされますのでご注意ください。資格者に書類作成を委任した場合は、特定技能所属機関との委任関係を証明する「委任状」を提出してください。
まとめ:「知らなかった」による違反を防ぐために
特定技能外国人の受け入れにおいて、随時届出の手続きは非常に細かく、発生する事由によって提出する様式や添付する説明書が目まぐるしく変わります。「14日以内に入管必着」というタイトなスケジュールの中で、正確な書類を不備なく揃えるのは、担当者の方にとって非常に大きな負担となります。
しかし、対応を後回しにしたり、自己判断で届け出を省略したりすると、罰金刑や「5年間の受け入れ停止」という、企業の存続に関わる重大なペナルティを科されかねません。法的な適合性を常に維持し、安心して外国人を雇用し続けるためには、実務の早い段階から専門家である行政書士と連携し、確実な手続きを行っていくことが最も安全な道です。
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