外食から飲食料品製造業へ特定技能を切り替えられる?パン屋・弁当屋の事例で産業分類コードの違いを徹底解説

特定技能の「外食業分野」の受入れ停止(※特定の事情や在留資格認定等の調整によるもの)を受け、企業の外国人採用担当者様から「飲食料品製造業分野に切り替えて在留資格を申請できないか」というお問い合わせが急増しています。

一見すると「食べ物を作って提供する」という点で同じように思える両分野ですが、入管法や日本標準産業分類上の定義は全く異なります。正しい区分を理解していないと、不許可リスクだけでなく、不法就労助長罪などの深刻な違法リスクに直面しかねません。

本記事では、初心者の方にも分かりやすく、パン屋、弁当屋、テイクアウト専門店などの具体例を交えながら、2つの分野の決定的な違いと産業分類上の厳格な要件を網羅的に解説します。


外食業分野と飲食料品製造業分野の「根本的な違い」とは?

まず大前提として、外国人が従事する特定技能の分野は、就労する事業所が日本標準産業分類のどのコード(産業)に該当するかによって厳格に決められています。

  • 外食業分野:主に客の注文に応じて調理した飲食料品を、その場で飲食させたり、すぐに持ち帰り・配達の形で提供したりする事業。
  • 飲食料品製造業分野:主として飲食料品を「製造・加工」し、それを卸売したり、自店で製造して一般消費者に直接販売(製造小売)したりする事業。

つまり、「その場(または直後)に食べるための調理・飲食サービス」なのか、「流通や製造小売を前提とした食品の加工・製造」なのかという点が最大の分岐点です。


【外食業分野】日本標準産業分類における該当事業所の定義

外食業分野においては、日本標準産業分類のコードによる具体的な指定は設けられていません。その代わり、以下のいずれかの飲食サービス業を行っている事業所で就労させる必要があります。

  • 客の注文に応じ調理した飲食料品、その他の飲食料品をその場で飲食させる飲食サービス業(例:食堂、レストラン、料理店等の飲食店、喫茶店等)
  • 飲食することを目的とした設備を事業所内に有さず、客の注文に応じ調理した飲食料品を提供する持ち帰り飲食サービス業(例:持ち帰り専門店等)
  • 客の注文に応じ、事業所内で調理した飲食料品を客の求める場所に届ける配達飲食サービス業(例:仕出し料理・弁当屋、宅配専門店、配食サービス事業所等)
  • 客の求める場所において調理した飲食料品の提供を行う飲食サービス業(例:ケータリングサービス店、給食事業所等)

【飲食料品製造業分野】就労可能な事業所と産業コード一覧

飲食料品製造業分野で就労可能な事業所は、日本標準産業分類に掲げる産業のうち、主として以下のいずれかを行っている必要があります。

  • 中分類09:食料品製造業
  • 小分類101:清涼飲料製造業
  • 小分類103:茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
  • 小分類104:製氷業
  • 細分類5621:総合スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行うものに限る。)
  • 細分類5811:食料品スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行うものに限る。)
  • 細分類5861:菓子小売業(製造小売)
  • 細分類5863:パン小売業(製造小売)
  • 細分類5896:豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(ただし、豆腐・かまぼこ等加工食品の製造を行うものに限る。)

上記に該当する事業所における「製造品出荷額等(製造品出荷額や食品加工に伴う加工賃収入など)」が直近1年間で実際に発生していることが、飲食料品製造業分野の厳格な要件となります。


【業態別の具体例】飲食料品製造業として申請できるケース・できないケース

外食の受入れが難しいため「うちはテイクアウトだから製造業でいけるのでは?」と考えてしまいがちですが、実務上は以下のような細かい線引きがあります。

パン屋(ベーカリー)

  • 申請できるケース:店舗に併設された厨房や自社工場で原材料からパンを仕込み・焼き上げ、それを店頭で販売している場合。これは分類上の「パン小売業(製造小売)」に該当するため、飲食料品製造業分野での申請が可能です。
  • 申請できないケース:店内に大きなイートインスペースがあり、購入したパンをその場で食べさせるサービスが主目的である場合や、他社の工場から配送されてきたパンを単に仕入れて並べて売っているだけの「小売店(自社調理を行わない)」の場合は対象外、または外食業分野に該当します。

弁当屋・惣菜店

  • 申請できるケース:自社の加工場や厨房で弁当や惣菜を大量に製造し、それを他店へ卸売している場合、あるいは「製造小売」の形態として分類される場合。直近1年間の「製造品出荷額」や「加工賃収入」が決算書類等で明確に証明できれば、飲食料品製造業分野の対象となります。
  • 申請できないケース:注文を受けてからその場で唐揚げを揚げたり、ご飯を詰めたりしてすぐに手渡すような「街の一般的なお弁当屋さん」や、注文主への「デリバリー専門店」は、産業分類上「持ち帰り・配達飲食サービス業」となり、外食業分野に属するため、飲食料品製造業では申請できません。

テイクアウト専門店(タピオカ、クレープ、コーヒースタンド等)

  • 申請できないケースがほとんど:その場で客の注文に応じて簡易的な調理(ドリンクを混ぜる、クレープを焼く等)を行い、すぐに消費者に手渡すテイクアウト専門店は、原則として「持ち帰り飲食サービス業(外食業分野)」に分類されます。大規模な食品製造ラインを持って工場(食料品製造業)として稼働している場合を除き、飲食料品製造業分野での申請は非常に困難です。

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切り替え申請時に注意すべき「実務上の違反リスク」

外食業分野の代わりに飲食料品製造業で形だけ申請を通し、現場では外食業(飲食店での接客や皿洗い、飲食サービス用の調理)の仕事をさせる行為は完全に違法です。

飲食料品製造業分野で受け入れた外国人は、飲食料品製造(調味加工、裁断、成形、包装など)の業務に「主として(業務時間の過半数以上)」従事する必要があります。事業所内で日本人が通常行う関連業務(資材の運搬、清掃、店頭での販売・接客など)に付随的に従事することは認められますが、専らそれらの業務に就かせることはできません。

  • 虚偽申請による受入れ停止:実態が外食業であるにもかかわらず、製造業と偽って書類を提出した場合、不正行為(欠格事由)に該当し、企業は以後5年間、特定技能外国人の受入れが一切不可能になります。
  • 不法就労助長罪の刑事罰:在留資格「特定技能(飲食料品製造業)」を持つ外国人に、レストランの接客や一般的な飲食店厨房での調理を専らさせた場合、企業側には「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(またはその両方)」という重い刑事罰が科されるリスクがあります。

人手不足だからといって、安易に分野を「読み替えて」申請することは絶対に避けてください。


まとめ:自社の該当性に迷ったら、まずは専門家へご相談を

特定技能における「外食」と「飲食料品製造業」の切り分けは、営業許可書の名目だけでなく、売上の構成比率や現場での具体的な作業実態、そして日本標準産業分類の定義まで考慮して総合的に判断されます。

「うちのパン屋・弁当屋ならどちらで申請すべき?」「今の売上実績で飲食料品製造業の要件を満たせる?」と少しでも不安に思われたら、外国人雇用の実務に精通した行政書士法人へお気軽にご相談ください。貴社のビジネスモデルを丁寧にヒアリングし、法的に安全で確実な採用ルートをご提案いたします。


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