【2026年最新】特定技能外国人の費用負担ルール徹底解説!会社負担・本人負担・在留手数料値上げの対応まで

特定技能外国人を受け入れる際、「どの費用を企業が負担し、どの費用を本人に負担させてよいのか」迷う事業者の方は少なくありません。また、在留申請にかかる費用(行政書士への依頼料や印紙代)の扱いや、雇用条件書でのルール設定(罰則金など)についてもよくご相談いただきます。

特に昨今、出入国在留管理庁による在留手数料(収入印紙代)の値上げ改定が発表されたことを受け、「値上げされた申請手数料を会社が負担すべきなのか、あるいは本人(申請人)に負担させてもいいのか?」といったお問い合わせが当行政書士法人へも急増しております。

特定技能制度では、外国人本人が不当な金銭的負担を強いられたり、自由や権利を制限されたりすることを防ぐため、出入国管理関係法令や労働関係法令によって厳格なルールが定められています。万が一ルールに違反した契約を結んだり違法な給与天引きを行ったりした場合、以後5年間は特定技能外国人の受け入れができなくなるなどの極めて重いペナルティが科されるおそれもあります。

本記事では、特定技能外国人に「負担させていい費用・いけない費用」の明確な基準に加え、「在留申請費用の取り扱いや人材紹介会社利用時の注意点」、そして「雇用条件書における罰則金の禁止ルール」について、企業の雇用担当者が押さえておくべき実務ポイントを網羅して徹底解説します。

絶対に負担させてはいけない費用(企業負担が原則)

特定技能制度において、以下の費用は外国人本人に直接的にも間接的にも負担させることが法律および運用要領で固く禁止されています。これらを本人に請求したり給与から天引きしたりすることは明確な法令違反となります。

1号特定技能外国人支援に要する費用(義務的支援費用)

法令で定められた「義務的支援」を実施するためにかかる費用は、特定技能所属機関(受入れ企業)が全額負担しなければならず、直接・間接を問わず外国人に負担させることはできません。

  • 空港送迎の交通費:入国時および帰国時に空港と事業所(または住居)の間を移動するための交通費・ガソリン代・高速道路料金など
  • 通訳・翻訳費用:事前ガイダンスや生活オリエンテーション、定期面談等で発生する通訳料や各種書類の翻訳費用
  • 登録支援機関への委託費用:自社で支援を行わず、登録支援機関へ支援計画の実施を委託する場合の委託手数料(毎月の月額支援費など)
  • 公的手続・生活支援費用:住居確保のサポートや、銀行口座開設・携帯電話契約・行政手続への同行に要する費用や交通費

保証金や違約金・不当な財産管理

失踪防止などの名目で本人やその親族から「保証金」を徴収することや、雇用契約の不履行(途中で退職するなど)に対して「違約金(ペナルティ)」を定める不当な契約は固く禁じられています。また、預貯金通帳やパスポート、在留カードを企業が保管・管理することも人権侵害・法令違反となります。

借上物件の初期費用(社宅として提供する場合)

受入れ企業が借り上げた賃貸物件を社宅として提供する場合、外国人に負担させることができるのは毎月の「家賃や管理費・共益費等」を入居人数で割った金額のみです。

企業が支払った敷金、礼金、保証金、不動産仲介手数料、契約更新手数料、途中解約金などを家賃に上乗せして本人に負担させることは認められません。

本人が負担できない場合の帰国費用

雇用契約終了後に帰国するための旅費(航空券代等)は原則として本人負担ですが、本人が経済的事情等により帰国費用を負担できない場合には、受入れ企業が旅費を全額負担し、出国が円滑になされるよう必要な措置を講じる法的義務があります。

本人に負担させても良い費用(適正な実費相当額)

外国人本人が日本で日常生活を送る上で定期的に発生する費用については、「本人が内容を十分に理解して合意していること」かつ「適正な実費相当額であること」を条件に、本人負担とすることができます。

居住費(家賃等)

提供する住居の形態によって適正額の算出ルールが定められており、実費を超える金額を徴収して企業が利益を得ることは禁止されています。

  • 借上物件(社宅)の場合:借上げに要する費用(家賃・管理費・共益費等)を入居人数で割った額以内の金額。
  • 自己所有物件の場合:実際の建設・改築等に要した費用(土地代除く)、耐用年数、入居人数などを勘案して算出した合理的な金額。

水道光熱費

実際に請求された水道代・電気代・ガス代の合計額を、その住居で同居している人数で割った額以内であれば本人に負担させることが可能です。

食費

企業が食事を提供する場合、その提供方法に応じた実費以内の額を設定します。

  • 社員食堂等の場合:他の日本人従業員と同額以下の適切な設定額。
  • まかない・調理提供の場合:材料費・光熱費・人件費等を計算し、提供を受ける人数で割った合理的な金額。
  • 現物支給(お米や弁当など)の場合:購入に要した実費相当額。

敷金や礼金(本人が直接賃貸契約を結ぶ場合)

企業を介さず、外国人が自ら賃借人となってアパート等の賃貸契約を結ぶ場合の敷金や礼金、火災保険料等は、本人が負担します。

税金や社会保険料(法定控除)

所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などの法定控除は、日本人従業員と同様に本人の給与から控除(天引き)して負担させます。

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在留申請費用や雇用条件書の「罰則金」に関するQ&A

実務で寄せられる疑問や、昨今の制度変更に伴う注意点について解説します。

Q:在留申請に関する費用(値上がりする印紙代や行政書士費用)はどちらが負担する?

A:法令上の明確な企業負担義務はありませんが、実務上は「企業負担」が強く推奨されます。

在留資格の変更や更新の際にかかる申請手数料(収入印紙代)や、手続きを代行する行政書士への依頼報酬は、法令上企業負担が義務付けられている「義務的支援に要する費用」には直接該当しません。そのため、事前の合意があれば本人負担とすることも法的・形式的には可能です。

しかし、今回の在留手数料の値上げ改定により、本人負担とした場合の金銭的圧迫が増し、不満や失踪リスクにつながる恐れがあります。また、在留資格の取得・更新は企業で継続して稼働するために不可欠な手続きであるため、人材確保・定着の観点やスムーズな手続き遂行のため、受入れ企業側が全額負担するケースが大多数を占めることが予想されます。

Q:雇用条件書や社内ルールで、退職時やルール違反に対する「罰則金(違約金)」を定めても問題ないですか?

A:絶対に定めてはいけません。極めて重いペナルティの対象となります。

労働基準法(第16条:賠償予定の禁止)により、労働契約の不履行に対する違約金や損害賠償額をあらかじめ予定する契約は禁止されています。特定技能制度ではこれに加えて、外国人の適正な活動を阻害する「不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約」を幅広く禁止しています。

具体的には、以下のようなルールや契約を定めることは明確な法令違反となります。

  • 地方出入国在留管理局や労働基準監督署などの行政機関へ相談に行くことを禁じ、違反した場合の違約金を定めること
  • 休日に許可を得ずに外出することや、作業時間中にトイレ等で離席することを禁じ、その罰則金(違約金)を定めること
  • 「〇年間勤務すれば講習費や免許取得費用等の貸付金の返済を免除する」「途中で退職した場合は貸付金の残額を一括で返済させる」といった、労働を不当に強制し転職・退職を制限する内容の契約
  • 商品やサービスの対価として、不当に高額な料金の徴収を予定する契約

これらの罰則金を雇用条件書や就業規則、誓約書等に記載して契約を結んだり、実際に徴収したりすると、不正または著しく不当な行為を行ったとみなされ、以後5年間は特定技能外国人の受入れができなくなるという非常に重いペナルティを受けることになります。

有料職業紹介事業者を利用する場合の要注意ポイント

特定技能人材を採用する際、有料職業紹介事業者(人材紹介会社)を利用する企業も多いですが、「紹介手数料」と「在留申請費用」の違いには注意が必要です。

求職者(外国人本人)からの紹介手数料徴収は違法

日本の職業安定法では、有料職業紹介事業者が求職者(労働者本人)から紹介手数料等の名目で金銭を徴収することは原則として禁止されています。企業側が紹介手数料を支払うのは問題ありませんが、紹介事業者が外国人本人から手数料を取ることは違法です。

「申請費用」名目での違法徴収に警戒が必要

純粋な「在留申請費用(印紙代や行政書士費用)」を外国人が合意のもとで負担することは前述の通り可能ですが、紹介事業者が「申請費用」などの名目を借りて、実質的に違法な紹介手数料や保証金を外国人から徴収しているケースには十分な警戒が必要です。

特定技能制度においても、申請時に提出する「雇用の経緯に係る説明書」で、求職者(外国人)と求人者(企業)双方が紹介事業者に支払った費用の額および名目を正確に申告しなければなりません。外国人が不当に多額の費用や手数料を支払わされていないか、受入れ企業として事前にしっかりと確認することが不可欠です。

トラブルを防ぐための労務管理と注意点

費用を本人に負担させる(給与から天引き等を行う)場合、必ず以下の手順を徹底してください。

  1. 賃金控除協定の締結と雇用条件書への明記:給与から家賃や食費等を天引きする場合、労使協定(賃金控除協定)を締結した上で、雇用条件書に控除する名目や明確な金額(概算含む)を記載する必要があります。
  2. 母国語等での説明と同意(署名):控除内容や費用の計算根拠について、外国人が十分に理解できる言語で説明し、納得した上で署名(合意)を得なければなりません。
  3. 実費確認の徹底:実費を超える不当に高額な費用を徴収したり、前述のような罰則金を設けたりすると法令違反となります。適正な金額が維持されているか定期的に確認しましょう。

まとめ

特定技能外国人の費用負担や労務管理については、「本人の生活費(実費)は本人負担」「義務的支援費用は企業負担」「罰則金や不当な違約金は設定NG」という原則を正しく理解しておくことが重要です。

「この費用は天引きしても問題ないか?」「現在の雇用条件書に法令違反になるような表現はないか?」など、特定技能の運用に関してお困りのことがございましたら、専門家である当法人までお気軽にご相談ください。申請の代行から適法な人材管理のアドバイスまで、トータルでサポートいたします。

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