【2026年最新】特定技能の定期届出ガイド|新様式の書き方と注意点を実務解説

特定技能制度を適正に運用する上で、避けて通れない最重要実務が「定期届出」です。2026年1月26日、出入国在留管理庁より令和8年度(2026年度)提出用の新作成要領と様式が公表されました。

今回の改正では、報告頻度が「年1回」に集約された一方で、自社支援か委託支援かによる役割分担や、報告内容の集計ルールがより厳格に規定されています。制度遵守(コンプライアンス)を徹底し、円滑な事務遂行を行うための実務ポイントを詳細に解説します。

実務上の重要チェックポイント

  • 年1回の一括報告:4月1日〜5月31日に前年度分を報告
  • 支援形態による違い:自社支援・委託支援それぞれの提出・確認範囲
  • 月平均値の算出:労働日数・時間・給与額の正確な計算ルール
  • 書類省略の基準:電子届出と「一定の基準」への該当性

定期届出の提出スケジュールと対象範囲

2026年度(令和8年度)の定期届出は、以下のスケジュールで進行します。

区分 内容
届出対象期間 2025年4月1日 ~ 2026年3月31日
提出期間 2026年4月1日 ~ 2026年5月31日
報告対象 期間中に1日でも特定技能外国人の受入れがあった全ての機関

実務上の注意: 年度途中に退職した外国人や、年度末(3月31日)に1日だけ受け入れた場合であっても、当該年度の報告対象として計上する必要があります。

支援形態による提出内容・役割の違い

支援を自社で行っているか、登録支援機関に委託しているかにより、準備すべき項目が異なります。

自社支援(内製化)の場合

自社で全ての支援項目を実施、あるいは支援の一部のみを委託している場合は「自社支援のみ」に該当します。

  • 支援実施状況の作成:別紙1において、各支援項目が適切に実施されたかを自社で確認・記載します。
  • 署名:届出書本体(参考様式第3-6号)の所属機関作成者欄に自社担当者が署名します。

支援を全部委託している場合

登録支援機関に支援の全部を委託している場合、企業と支援機関の密接な連携が必要です。

  • 情報の取りまとめ:登録支援機関が作成した「支援実施状況」を貴社で取りまとめて提出します。
  • 連名での報告:別紙2(署名欄)において、貴社と登録支援機関の双方の署名が必要となります。
  • 電子届出時の注意:電子届出であっても、全ての登録支援機関の署名が入った「別紙2」のスキャンデータを添付しなければなりません。

ミスを防ぐ!算出ルールと「よくある不備」

新様式では月平均値を記載しますが、作成要領では間違いやすいポイントが明記されています。

数値算出の厳格なルール

  • 平均値の端数処理:実労働日数、時間、給与額などはすべて「小数点第1位を四捨五入」して整数で記載します。
  • 残業代の記載:「うち超過労働給与額」には、割増分(0.25倍など)だけでなく、時間外手当分全額(1.25倍分など)を記載してください。
  • 昇給率の算出:同一資格で継続2年以上雇用している場合に記載します。昇給していない場合の昇給率は「0.0%」と記載し、100%や105%と記載しないよう注意が必要です。

よくある形式不備

  • 宛名の誤り:「氏名又は名称」欄には、事業所名ではなく、法人番号が指定されている「本社」の名称を記載してください。
  • ログインアカウント:電子届出を行う際は、必ず受入企業側(特定技能所属機関)のアカウントでログインしてください。登録支援機関のアカウントからの提出は認められません。

提出が必要な「所属機関に関する公的な書類」の内容

定期届出では、以下の書類の原本または写しの添付が求められます。

登記事項証明書 法人の登記情報の最新原本(法人のみ)。
役員等の住民票の写し 業務執行に関与する役員全員、または個人事業主本人のもの。
納税証明書(その3) 法人税や消費税等に未納がないことを証明する資料。
社会保険・労働保険資料 保険料の納付状況を確認できる領収証書の写し等。
住民税納付証明資料 直近1年度分の法人住民税または個人住民税の納付に係る資料。

書類提出が「省略」可能となる条件

電子届出システムを活用し、かつ以下の基準を満たす優良な機関は、上記の公的書類の提出を省略可能です。

  • 過去3年間に指導勧告書の交付や改善命令処分を受けていないこと。
  • オンライン申請をオンライン、各種届出を電子届出で行っていること。
  • 上場企業、相互会社、または源泉徴収税額が年間1,000万円以上の機関など。
  • 特定技能所属機関として3年以上の受入れ実績があり、債務超過でない法人。

実務を円滑に進めるための準備アクション

提出期限である5月31日に向けて、早期に以下の準備に着手することをお勧めします。

  1. 対象者データの先行集計:賃金台帳・出勤簿に基づき、月ごとの集計表を整理する。
  2. 電子届出システムの利用者登録:システム未登録の場合は、余裕をもって事前登録を完了させる。
  3. 委託先との連携フロー確定:支援委託先と、署名(別紙2)の回収期日や内容確認のスケジュールを合意しておく。

今回解説した定期届出をはじめ、特定技能制度の運用には細かなルールが数多く存在します。書類一つ、計算一つの不備が、将来的な受入れ停止などの重大なリスクに繋がる可能性も否定できません。

「知らなかった」では済まされないリスクから会社を守るために。
当法人では、外国人雇用に関する法改正の動向や、実務で役立つ具体的なノウハウを凝縮した無料メールマガジンを配信しています。

制度の最新情報をいち早くキャッチし、安心・安全な外国人採用を実現したい担当者様は、ぜひこの機会にご登録ください。

その他の記事

【2026年最新】在留外国人376万人突破!特定技能と「育成就労制度」のポイントを解説

在留外国人数が376万人を超え過去最高を更新する中、外国人雇用の重要性が高まっています。本記事では、人手不足を支える「特定技能」制度の最新状況や拡大する16の対象分野、さらに技能実習に代わり新設される

資格外活動許可とは?留学生・家族滞在のアルバイト雇用で企業が守るべき28時間ルール

留学生や家族滞在ビザの方を雇用する際、必須となる『資格外活動許可』。週28時間の制限や、卒業後の就労禁止など、企業が知っておくべきリスクを専門家が詳しく解説します。不法就労助長罪から会社を守るためのバ

みなし再入国許可とは?外国人雇用の担当者が注意すべき点と手続きを解説

外国人社員の一時帰国や海外出張時に欠かせない「みなし再入国許可」の仕組みを解説します。空港でのEDカードの手続きを誤ると、就労ビザが失効する重大なリスクがあります。1年以内に再入国する際の注意点や、期

特例期間は不法就労になる?申請中に働かせていいケース・ダメなケース

外国人雇用の担当者が直面する「在留期限切れ」の不安。適切に更新申請を行えば「特例期間」により最大2か月間の就労継続が可能ですが、不法就労助長罪などのリスク管理も不可欠です。本記事では行政書士が特例期間

技術・人文知識・国際業務(技人国)とは?特定技能との違いや可能業務、不許可リスクを徹底解説

深刻な人手不足対策として注目される外国人採用。本記事では主要な在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」について、特定技能との違いや仕事内容、不許可・不法就労のリスクを行政書士の視点で解説します。

【2026年最新】特定技能制度の最新の動向と活用

特定技能制度は人手不足を背景に改正され、新たに自動車運送業、鉄道、林業、木材産業が加わり全16分野となりました。本記事では、各分野の業務内容や、JLPT…

外国人雇用のビザと在留資格の違いとは?採用時の確認ポイントを解説

外国人雇用の第一歩は「ビザ」と「在留資格」の違いを正しく理解することです。不法就労助長罪のリスクを避け、安全に採用するための在留カード確認方法や、読取アプリの活用術を実務目線で分かりやすく解説します。

従業員が在留カードを紛失!企業の正しい対応手順と不法就労のリスクを解説

従業員が在留カードを紛失した際、放置すると企業が不法就労助長罪に問われる恐れがあります。本記事では行政書士が、警察への届出から再交付までの4ステップ、企業が取るべき法的リスク回避策を分かりやすく解説し

Email Newsletter

まずは気軽にメルマガで情報をGET!最新情報を受け取る

特定技能を中心とした在留資格(ビザ)や入管手続きに関する最新情報を、メールマガジンにて定期的にお届けしています。制度改正や審査の傾向、申請実務で役立つポイントなど、行政書士法人ならではの専門的な内容をわかりやすく解説。企業のご担当者様から個人のお客様まで、幅広い方々にご活用いただいております。

・最新の入管制度改正情報をいち早くキャッチ・ビザ申請に役立つ実務ノウハウを無料で配信・セミナーや相談会などのご案内を優先的にお知らせ

メルマガ登録

その他の項目

東京都世田谷区梅丘1-23-5 ファインビル3F
shinsei@ex-stan.com
050-8881-6573

©2025 Exstan行政書士法人. All Rights Reserved.

Privacy Preference Center