2026年施行の行政書士法改正 ~「特定技能」を取り巻く法制度の最新動向~
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2026年1月1日から、改正された「行政書士法」が施行される予定です。これにより、行政書士でない者による報酬付きの書類作成業務への規制が明確化され、より厳格なコンプライアンス遵守が求められることになります。
とりわけ、登録支援機関や外国人雇用を支援する事業者、受入企業等においては、今後の対応が適法性の観点から非常に重要となります。本稿では、改正内容のポイントと、行政書士法人としてどのような対応が必要かを整理いたします。
行政書士法改正の概要
「行政書士法」は、行政書士の資格要件や業務内容、守秘義務、事務所の設置義務などを定め、行政手続きを適正かつ安心して依頼できるようにするための法律です。今回の改正では、以下のように明確な制限が加えられます。
◼️行政書士または行政書士法人でない者が、「報酬を得て」書類作成を業として行うことができない、との規定が明示される。
◼️たとえ「支援サービスの一部」として含まれていたとしても、登録支援機関等が無償で行う書類作成が「報酬付きサービスに含まれる」と判断される可能性が高く、違法となるリスクがある。
つまり、これまであいまいだった「どこまでが許されるか」「書類作成を誰が行うか」という境界が、法的に明確に線を引かれることになります。
第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。
参照URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/001014708.pdf
なぜ法的リスクが問題となるのか
特に、外国人の在留資格申請や「特定技能」の受入れ支援などを行う登録支援機関においては、これまで「生活支援」「相談対応」「手続きサポート」「書類準備補助」などをまとめて請け負うケースがありました。しかし、改正後は以下のようなリスクが顕在化します。
◼️書類の作成を含めたサービス全体で報酬を得ている場合、「申請書類の作成行為」が報酬付き業務とみなされ、行政書士法違反となる可能性がある。
◼️万が一、違反が認定されると、行政処分や業務停止、社会的信頼の失墜など重大な結果を招く。
◼️受入企業や外国人本人にとっても、申請が無効・却下される可能性があり、企業の信頼性にも関わる問題となりうる。
◼️登録支援機関が違反行為により業務停止処分を受けた場合、受入企業も「適正な支援が実施されていない」と判断され、特定技能外国人の受入れを継続できなくなる可能性がある。
登録支援機関・受入企業として何ができるか
改正後も適法に外国人支援や申請手続きのサポートを行うためには、次のような対応が必要とされます。
◼️書類作成業務の明確な分離
支援委託契約書において「申請書類の作成は行政書士(または行政書士法人)に外部委託する」旨を明示。
◼️補助行為にとどめる
登録支援機関の担当者は、相談対応、申請取次など「補助業務」に限定し、「書類の作成・加除訂正」は行わない。
◼️報酬と業務内容の透明化
支援サービスの内容と報酬の内訳を明確化し、書類作成が含まれていないことを契約書・請求書で証明可能にする。
このような対応を行うことで、法令遵守(コンプライアンス)を確保しつつ、外国人受け入れ支援を継続することが可能となります。
行政書士法人としての当法人の役割と責任
Exstan行政書士法人としては、以下のような役割と責任が、今後さらに重要になると認識しております。
◼️外部からの書類作成依頼を受け、適法かつ専門性の高い手続きを行う
◼️登録支援機関や受入企業に対して、法令遵守の観点から助言・ガイドラインの提供
◼️支援契約書類のテンプレ整備、報酬体系の適正化支援、業務分担の明確化支援
◼️必要に応じて、行政手続きに関するコンプライアンス監査や内部チェック体制の構築支援
当法人は、これまで培ってきたノウハウと専門性をもって、外国人雇用支援分野の適法運営と安心・安全なサービス提供の一翼を担う所存です。
まとめ
◼️2026年1月1日から施行される行政書士法改正により、「報酬を得ての書類作成」は行政書士(または行政書士法人)に限定されることになります。
◼️登録支援機関や受入企業は、対応を誤ると法令違反や申請無効のリスクを負いますので、早急な体制の見直しが必要です。
◼️行政書士法人としては、適法かつ安定的な申請サポート体制を提供することが、今後ますます重要となります。
◼️Exstan行政書士法人は、引き続き法令遵守を徹底しつつ、皆さまの外国人受入れ・申請業務の支援に努めてまいります。
