【徹底解説】特定技能の日本語要件変更|「B1相当以上」確認は2027年4月から
2026年9月30日、出入国在留管理庁から特定技能外国人に求められる日本語能力水準「B1相当以上」の確認開始時期について重要な発表がありました。
今回の発表により、特定技能2号について、2027年4月1日以降の在留資格認定証明書交付申請から「B1相当以上」の日本語能力が必要になることが明確にされています。
また、特定技能1号についても、自動車運送業分野(バス運送業区分・タクシー運送業区分)および鉄道分野(運輸係員区分)において、これまでの「日本語能力試験(JLPT)N3以上」から「B1相当以上」へ基準が変更されます。
本記事では、今回の入管庁の発表内容をはじめ、企業や外国人本人が注意すべき実務上のポイントについて、初めての担当者様にも分かりやすく解説します。
目次
- 「B1相当以上」とは?「B1」という試験があるわけではない
- 特定技能2号は2027年4月1日からB1相当以上が必要
- 特定技能1号でもB1相当以上が必要になる分野がある
- 在留資格変更・更新についてはまだ決まっていない
- これまでの「N3以上」と何が変わる?
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)とは?
- 現時点で何の試験を受ければいいの?
- 今後、企業が注意すべきポイント
- まとめ
目次
Toggle「B1相当以上」とは?「B1」という試験があるわけではない
今回の制度変更で登場する「B1相当以上」という言葉について、まず押さえておきたいのが、「B1」という名称の日本語試験が存在するわけではないという点です。
例えば、広く知られている「日本語能力試験(JLPT)」には、以下のような5つの級(レベル)が存在します。
- N1(最も難しい)
- N2
- N3
- N4
- N5
一方、「B1」はこうした特定の試験の級ではありません。「B1」とは、文化庁が策定した「日本語教育の参照枠」における日本語能力の熟達度レベルの一つです。
そのため、今後の対応としては「B1という試験を受けて合格する」という形ではなく、「日本語教育の参照枠におけるB1相当以上の日本語能力があることを、所定の方法・試験で確認する」ことになります。
「B1」と「N3」は同じものではない
ここで特に注意が必要なのが、「B1」と「N3」の捉え方です。
「B1」は「日本語教育の参照枠」に基づく総合的な能力基準であり、「N3」は「日本語能力試験(JLPT)」という特定のテストの判定レベルです。つまり、根拠となる基準自体が異なります。
したがって、以下のように単純に置き換えることはできません。
- ×「B1 = JLPT N3」
- ×「B1 = JLPT N2」
今回、特定技能1号の自動車運送業の一部区分(バス・タクシー)や鉄道分野(運輸係員)では、これまでの「JLPT N3以上」から「B1相当以上」へ日本語能力の基準が変更されます。今後、どの試験によって「B1相当以上」を確認するのかについては、出入国在留管理庁等の公式発表を正確に確認していく必要があります。
【図解】日本語教育の参照枠とJLPTのレベル比較・熟達度ガイド
日本語の熟達度を示す「日本語教育の参照枠(CEFR準拠)」と「日本語能力試験(JLPT)」の相関関係、および各レベルの具体的な達成度(レベルの目安)を図解で整理しました。
【対比図】日本語教育の参照枠 × JLPT
日本語教育の参照枠(CEFR準拠):
初級者
初級後半
中級前半
中級後半
上級者
熟達者
日本語能力試験(JLPT)の目安水準:
※JLPTと参照枠はテストの性質(単一選択式問題か、実践的なコミュニケーション能力重視か)が異なるため、単純な1対1の機械的互換ではありません。あくまで概念上の比較目安です。
| レベル | JLPT目安 | 能力の概要(身につけている状態の目安) |
|---|---|---|
| A1 | N5相当 | 具体で日常的なニーズを満たすための、よく使われる身近な表現や簡単な文節を理解し、使用できる。相手がゆっくり明確に話してくれればコミュニケーションが可能。 |
| A2 | N4相当 | ごく身近な領域(基本情報、買い物、家族、仕事など)に関連する簡単な表現が理解できる。身近で日常的な範囲での情報交換に応じることができる。(※従来の特定技能1号水準) |
| B1 【今回の変更】 |
N3〜N2の中間 | 仕事、学校、娯楽などで、普段出会うような身近な話題であれば、標準的な話し方の主旨を理解できる。自分の関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができ、予期せぬ事態にもある程度自分で判断して対応できる。 |
| B2 | N2〜N1相当 | 自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的・具体的な話題の複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者と自然な流暢さでやり取りができる。 |
| C1 | N1超 | 広範囲にわたる複雑で長い文書を理解し、含意を把握できる。言葉を探すのに苦労せず、流暢かつ自然に自己表現ができる。社会生活・学術・職業上の目的で柔軟かつ効果的に日本語を使用できる。 |
| C2 | 熟達者 | 聞いたり読んだりしたほぼ全てのものを苦もなく理解できる。自然で極めて流暢かつ正確に自己表現ができ、複雑な場面でも細かいニュアンスの違いを表現し分けられる。 |
上記の通り、今回求められる「B1レベル」とは、これまでの特定技能1号の一般的な基準(A2水準・JLPT N4相当)から1〜2段階ステップアップした、「職場での一般的な業務や日常生活で生じる問題に自力で対応できるレベル」を意味しています。
特定技能2号は2027年4月1日からB1相当以上が必要
今回の入管庁の発表で最も影響が大きいのが、特定技能2号に関する変更です。
2025年3月11日に開催された「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」および閣議決定により、特定技能制度・育成就労制度の基本方針が定められました。これに伴い、特定技能2号外国人に対して日本語能力水準「B1相当以上」を求める方針が示されていました。
そして2026年9月30日の発表により、その具体期日が確定しました。
在留資格認定証明書交付申請(COE交付申請)
2027年4月1日以降の申請分から、B1相当以上の日本語能力が必要となります。
つまり、海外から外国人を新たに特定技能2号として日本へ呼び寄せるために「在留資格認定証明書交付申請」を行う場合、2027年4月1日以降の申請においては、技能試験の合格だけでなく、日本語能力についても「B1相当以上」を満たしていなければ申請が受理されません。
単に2027年4月1日にルールが変わるというだけではなく、「同日以降に行う申請」が対象になる点に実務上の注意が必要です。
特定技能1号でもB1相当以上が必要になる分野がある
今回の発表では、特定技能2号だけでなく、特定技能1号の一部分野・区分に関しても重要な基準変更が示されました。
対象となるのは、以下の分野・区分です。
- 自動車運送業分野
- バス運送業区分
- タクシー運送業区分
- 鉄道分野
- 運輸係員区分
これらの区分では、これまでの日本語能力基準が「日本語能力試験(JLPT)N3以上」と定められていました。しかし、2026年1月23日に開催された閣議決定により分野別運用方針が変更され、今後は「B1相当以上」へ変更されることとなりました。
いつからB1相当以上が必要?
特定技能1号の上記区分についても、特定技能2号と同様に以下のスケジュールが適用されます。
2027年4月1日以降の在留資格認定証明書交付申請から「B1相当以上」が必要
そのため、バス・タクシーのドライバーや鉄道の運輸係員として海外から新たに外国人材を受け入れる計画をお持ちの企業様は、2027年4月以降の申請スケジュールと日本語要件を再確認しておく必要があります。
在留資格変更・更新についてはまだ決まっていない
企業の採用・労務担当者様が特に注視すべきなのが、「国内での在留資格の変更や更新」に関する取り扱いです。
今回の発表で明確になったのは、海外からの呼び寄せ等に関わる「在留資格認定証明書交付申請」の開始時期のみです。一方で、以下の手続きについては現時点で適用時期が決まっていません。
- 在留資格変更許可申請(例:特定技能1号から特定技能2号への移行、留学生からの変更など)
- 在留期間更新許可申請(例:現在特定技能で働いている方の期間更新)
出入国在留管理庁は今回の発表において、これらの取り扱いについて「現在検討中のため、おってお知らせいたします」としています。
現在すでに自社で働いている特定技能1号外国人が将来的に2号へステップアップするケースや、現在の在留資格を更新する際の手続きについては、今後の入管庁からの追加発表を待つ必要があります。
これまでの「N3以上」と何が変わる?
制度変更に伴い、現場の担当者様から多く寄せられるのが、「B1相当以上とは、JLPTでいうと何級に当たるのか?」というご質問です。
繰り返しになりますが、「B1」は日本語教育の参照枠による能力の指標であり、「N3」は日本語能力試験(JLPT)の試験レベルです。そのため、「B1=N3」と単純に判定することはできません。
特に、従来「JLPT N3以上」と定められていた自動車運送業(バス・タクシー)や鉄道(運輸係員)では、基準が「B1相当以上」に置き換わるため、従来の試験結果がそのまま使えるのか、あるいは別の確認方法が必要になるのか、今後の具体的な発表を確認する必要があります。
どの日本語試験が「B1相当以上」の証明として認められるのか、また合格点や判定基準がどう設定されるのかについては、出入国在留管理庁からの正式なガイドラインを待つ必要があります。
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)とは?
「B1相当以上」の議論において、もう一つ把握しておきたいのが国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)です。
JFT-Basicは、主に就労目的で来日する外国人を対象に、日本での生活場面におけるコミュニケーション能力を測定するテストです。コンピューターを使用して解答するCBT方式で実施されており、特定技能1号の日本語要件(従来のA2レベル確認)としても広く活用されています。
JFT-BasicはB1を測る試験ではない
注意すべきポイントは、現在のJFT-Basicでは「B1相当以上」を判定することができないという点です。
2026年8月にJFT-Basicは判定尺度の改定が行われ、従来のA2レベルに加えて、A1およびA2.1レベルの判定が可能となりました。現在、JFT-Basicで判定対象とされているのは以下の3つの水準です。
- A1
- A2.1
- A2.2(A2)
B1レベルは現在のJFT-Basicの判定範囲に含まれていません。そのため、現時点では「JFT-Basicに合格しているから特定技能2号のB1要件を満たせる」ということにはなりません。
今後、JFT-BasicでB1を判定できるようになる可能性も
ただし、今後の制度運用の中でJFT-Basicの仕組みが変更される可能性はあります。
出入国在留管理庁の検討資料では、現在A2水準を対象としているJFT-Basicについて、特定技能2号で求められるB1レベルも判定できるように対象を拡充する方向性が検討されています。
将来的にJFT-BasicにB1レベルの判定機能が追加されれば、特定技能のB1要件を証明する選択肢の一つになる可能性があります。ただし、2026年10月現在においてはB1判定はできませんので、国際交流基金や入管庁の公式発表を注視する必要があります。
現時点で何の試験を受ければいいの?
「では、外国人本人は今、何の試験を受ければよいのか?」という疑問が生じるかと思います。
2026年10月現在の実務においては、申請する「在留資格(1号・2号)」および「分野」に応じて冷静に整理することが重要です。
まず、特定技能2号については、2027年4月1日以降の認定証明書交付申請からB1相当以上が必要となります。しかし現在、「B1」を直接測るための新しい統一試験が新設されたわけではありません。また、前述の通りJFT-Basicも現時点ではB1に対応していません。
そのため、制度の詳細が完全に固まっていない現段階において、独自の判断で以下のように結論付けるのは非常にリスクがあります。
- ×「特定技能2号のB1対策として、とりあえずJLPT N3を受験させておく」
- ×「JFT-Basicに合格しているからB1要件はクリアできると判断する」
特に、2027年4月以降に特定技能2号での受入れや、自動車運送業・鉄道分野での1号受入れを計画している場合は、技能試験の対策だけでなく、日本語能力証明の具体的方法について入管庁の続報を確実に確認した上で準備を進めてください。「全分野共通でこの試験を受ければ間違いありません」と一律に案内できる状況ではない点にご留意ください。
今後、企業が注意すべきポイント
今回の発表を踏まえ、特定技能外国人を受け入れている、または受け入れを予定している企業様は、以下の3点に注意して備えを進める必要があります。
① 2027年4月以降に海外から2号人材を受け入れる場合
特定技能2号で海外から新たに呼び寄せる場合、2027年4月1日以降の在留資格認定証明書交付申請からB1相当以上が必要となります。技能試験の合格スケジュールと並行して、日本語能力要件の証明準備を早期から計画に組み込むことが不可欠です。
② 自動車運送業・鉄道分野の1号人材の採用計画
自動車運送業(バス・タクシー)および鉄道(運輸係員)では、1号であっても要件が変更されます。これまで「JLPT N3以上」を前提に採用スケジュールや研修計画を組んでいた企業様は、新たなB1要件の確認方法に合わせて計画を見直す必要があります。
③ 在留資格変更・更新の適用時期の確認
現時点で、国内での在留資格変更や期間更新におけるB1要件の適用時期は未定です。社内に在籍する特定技能1号外国人材が将来2号へ移行するキャリアパスを提示している場合は、今後の制度発表を継続的に追跡し、社内体制を整えておくことが重要です。
まとめ
2026年9月30日、出入国在留管理庁より特定技能における「B1相当以上」の日本語能力確認開始時期が発表されました。
今回の発表ポイントを一覧表に整理すると、以下のようになります。
| 対象 | 日本語能力水準 | B1相当以上の確認開始時期 | 対象となる申請 |
|---|---|---|---|
| 特定技能2号 | B1相当以上 | 2027年4月1日〜 | 在留資格認定証明書交付申請 |
| 特定技能1号 自動車運送業(バス・タクシー) |
B1相当以上 | 2027年4月1日〜 | 在留資格認定証明書交付申請 |
| 特定技能1号 鉄道(運輸係員) |
B1相当以上 | 2027年4月1日〜 | 在留資格認定証明書交付申請 |
| 在留資格変更許可申請 | 今後決定 | 未定(現在検討中) | おってお知らせ予定 |
| 在留期間更新許可申請 | 今後決定 | 未定(現在検討中) | おってお知らせ予定 |
今回の改正で特に重要なのは、「B1」という単一の試験が新設されるわけではないということです。「B1」は指標であり、どの試験でそれを証明するのか、またJFT-Basic等にB1判定が追加されるのかといった具体的な確認方法については、今後の出入国在留管理庁や国際交流基金からの発表を注視する必要があります。
外国人材の採用計画や在留資格の申請を予定している企業様は、制度変更の法的なポイントを正しく理解し、最新情報に基づいた受入計画を立てることが重要です。
🔗 入管HP
「知らなかった」では済まされないリスクから会社を守るために。
当法人では、外国人雇用に関する最新情報や実務ポイントをお届けする無料メールマガジンを配信しています。
ぜひこの機会にご登録いただき、安心・安全な外国人採用にお役立てください。
