特定技能の在留申請における健康診断票の注意点【企業担当者向け】
特定技能の外国人材を採用する企業にとって、在留資格申請は欠かせない手続きです。その際に提出が求められる書類のひとつが「健康診断票」。これは単なる形式的な書類ではなく、審査の可否や申請スケジュールに直結する重要な書類です。
本記事では、企業の採用担当者・人事担当者が押さえておくべき健康診断票の注意点と、実務に役立つ準備のコツを解説します。
目次
Toggle健康診断票が必要となる背景
特定技能制度は、外国人材の安定した就労と生活を前提としています。そのため、就労に支障がない健康状態であるかを確認する目的で、健康診断票の提出が求められています。 企業にとっても、以下のようなメリットがあります。
- 採用後の労務リスクを未然に防止できる
- 安全衛生管理の体制強化につながる
入管指定の様式を使用するのが安心
健康診断票は、出入国在留管理庁が指定する書式の使用が原則です。病院独自の診断書を提出することも可能ですが、入管が指定する必要項目がすべて網羅されていなければ不備扱いになります。 よくある不備は以下の通りです。
- 胸部エックス線検査の結果が未記載
- 医師の署名や押印がない
- 有効期限切れ
- 就労に関する可否が未記載
健康診断票に必要な記載内容
最低限受診しなくてはならない健康診断項目:
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査
- 血圧の測定
- 貧血検査(赤血球数、血色素量)
- 肝機能検査(GOT、GPT、Y-GTP)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
- 血糖検査
- 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無)
- 心電図検査(安静時心電図検査)
その他、健康診断票には以下の内容が必須です。
- 就労に制限の有無
- 医師の署名・押印
これらが不足していると、申請が差し戻される可能性があります。
実務で役立つチェックポイント
企業担当者は以下を徹底することで、申請遅延を防ぐことができます。
- 入管指定の様式書類を使用する
- 3か月以内(変更申請は1年以内)の診断日の書類を準備する
- 医師の署名・押印を必ず確認する
- 日本語以外の書類には翻訳文を添付する
- 就労に制限の有無の確認
企業が事前にできる対応
実務を効率化し、申請をスムーズに進めるために、企業ができることは以下の通りです。
- 提携医療機関を確保しておく
- 翻訳者や行政書士と連携して書類を準備する
- 健康診断から申請までのスケジュールを逆算して人材をサポートする
- 書類提出前に社内チェック体制を整える
よくある質問(FAQ)
Q1. 健康診断票はどこで取得できますか?
A. 日本国内であれば、一般の病院やクリニックで受診可能です。ただし、指定様式に対応できるか事前に確認しておきましょう。
Q2. 海外で受診した診断書をそのまま提出できますか?
A. そのままでは不可です。日本語訳の添付が必須となります。また、日本の指定様式に沿っていない場合は書き直しを求められることがあります。
Q3. 特定技能1号と2号で必要書類は異なりますか?
A. 健康診断票については、1号・2号ともに提出が必要です。区別はありません。
Q4. 健康診断票に費用はかかりますか?
A. 医療機関によりますが、5,000円〜15,000円程度が一般的です。企業が負担するケースも多いため、事前に確認しておきましょう。
Q5. 記載内容に不備があった場合、どうなりますか?
A. 入管から補正指示が入り、再度健康診断を受け直す必要が生じることもあります。時間的ロスを防ぐため、初回から指定様式での作成を徹底しましょう。
まとめ:企業担当者が押さえるべきポイント
健康診断票は、特定技能申請の中でも見落とされがちな書類ですが、審査に大きな影響を与えます。 企業としては、次の点を徹底することが重要です。
- 不備がないか徹底チェック
- 期限を確認
- 専門家と連携し効率化
外国人材の受入れをスムーズに進めるために、健康診断票の準備は「採用プロセスの一部」として計画的に取り組むことをおすすめします。
当書士法人では、特定技能の在留資格申請サポートを行っております。健康診断票の書式確認から翻訳、書類一式のチェックまで、安心してお任せください。お気軽にご相談ください。
